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1: 2022/06/19(日) 14:55:30.36
 「あずきバー」は、年間3億本も売れる人気の氷菓。近年はその硬さにも注目が集まり、パッケージにも「固く凍っているため、歯を痛めないようにご注意ください」と書かれているほど。それにしても、どうしてそんなに硬いの? 製造・販売する井村屋(津市)に聞いてみた。

 インターネット上では「あずきバーはサファイアより硬い」「あずきバーで万引き犯を撃退した」など、真偽不明の情報が出回っている。今一度、自分の歯でその硬さを確かめよう。冷凍庫から出してすぐにかじりつくと、まったく歯が立たない! そういえば、「歯が折れた」とか「唇がくっついた」とか話す同僚もいたなあ……。

 数分待って、あずきバーが少し軟らかくなってきたところでパクリ。簡単に歯が入る。あずきバーの塊が口の中でほどけ、冷たさが広がる。小豆の食感が和菓子を食べているようだ。少し待ってから食べてもおいしい。後味はさっぱり。もう1本いけそう。

 井村屋の開発部冷菓チームの嶋田孝弘チーム長に話を聞いた。同社が最初に冷菓を手がけたのは、あずきバー発売の10年前の1963年。バニラアイスなど他社と競合する商品を販売していたが、先行して手がけていた大手メーカーを相手に苦戦。何か新商品をと考えて生まれたのが、あずきバーだった。

試行錯誤の末、73年に発売
 ぜんざいをそのまま固めたようなアイスを目標に開発を進めたが、当時の冷凍技術では、凍らせている間に小豆が沈殿して偏ってしまう。配合などを何度も試行錯誤した末、73年に発売した。他社の商品が1本10~20円だった時代に、1本30円したため最初は売れなかったが、やがて新しさやおいしさが受けて定番商品になった。

 井村屋は1896年に井村和蔵氏が創業した。米相場で失敗した井村氏が「作れそうな気がする」と、ようかんの製造を開始したのが始まり。それが今につながるのだから、直感はバカにできない。もともと和菓子屋さんだっただけに、小豆にはこだわりがある。そういえば、井村屋は缶詰の「ゆであずき」も、冬場にお世話になる「あんまん」も販売している。

 あずきバーに使っている小豆は北海道や北米産。原材料は砂糖と小豆、水あめ、コーンスターチ、食塩の五つだけ。機械化はしているが、製法も発売当初と大きく変わらず、炊いた小豆を冷やし固めるというシンプルさ。それだけに、使う小豆の粒のサイズをそろえて食感を良くしたり、熱々から急速冷凍して小豆の香りを飛ばさないようにしたりと、細かな配慮をしている。

秘密は製法のシンプルさにあり
 ここで嶋田さん、「実はこのシンプルさが硬さの理由なんです」とあっさり秘密を明かしてくれた。添加物などを一切使わずに凍らせ、空気も含んでいないのでカチカチに。さらに、消費者の嗜好(しこう)に合わせて、配合を見直してきた結果、発売当初よりも甘さが控えめになった。「発売当初のレシピで作ってみたことがあるのですが、甘くて」と嶋田さん。含まれる砂糖の量が減ると、より硬くなる。近年、あずきバーの硬さが話題になるのは、消費者の好みに寄り添った結果でもあるのだ。

 ホームページにはアレンジレシピも。あずきバーをレンジでチンすればぜんざいに。さらに、ご飯と一緒に炊き込めば、ちょっぴり甘い赤飯になるという。余計なものを入れないからこそできるアレンジですね。

過去、軟らかいあずきバーの販売も……
 一方、刀で有名な岐阜県関市と協力して、刀部分があずきバーでできた日本刀を作ってみたり、玩具メーカーがあずきバーをかき氷にできるおもちゃを販売したりと、硬さを生かしたコラボも生まれている。「実は過去に3回、軟らかいあずきバーを販売したことがあるんです。おいしかったんですけど、売れませんでした」と嶋田さん。ファンにとっては、硬さも味のうち。真偽不明の都市伝説が生まれるのも、広く愛されているからこそだ。

 他にも小豆を使った冷菓のヒット商品が。発売10年目となる「やわもちアイス」は、その名の通り、アイスの上に乗った餅が軟らかい。嶋田さんが開発を手がけ、その製法は社外秘。何と、アメリカでも大ヒットしているそうだ。小豆の良さを海外の人にも知ってもらいたいというのは、同社の目標の一つ。小豆が「AZUKI」として世界に羽ばたく日も近い?
(略)

メロンボールは生誕50年(略)

毎日新聞 2022/6/19 11:00(最終更新 6/19 14:25) 2192文字
https://mainichi.jp/articles/20220616/k00/00m/040/140000c


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Source: 理系にゅーす