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1: 2021/04/11(日) 19:53:18.82 _USER9
東洋経済ONLINE04/11 17:00 川村卓 筑波大学体育系准教授
https://toyokeizai.net/articles/-/421728

「送りバントは有効な戦術なのか?」とは、よく聞かれる質問です。まず、「送りバントは無死1塁でどのくらい戦法として使われているのか?」ということから調べてみました。2016~2017年の甲子園大会129試合のデータを調べると、無死1塁で送りバントという戦法を選んだのは50.2%でした。

私の印象では「まだ結構使っているな」という感じです。しかしほぼ10年前の2005~2007年の甲子園大会160試合のデータを調べると、無死1塁で送りバントという戦法を選んだのは68.9%にも及びます(拙著『甲子園戦法セオリーのウソとホント』)。

10年前までは「無死で走者が1塁に出れば送りバント」と考えてよかったのですね。それが10年間で約20%も減少したことになります。

■「送りバント」はデータから見ても有効な手段ではない
この10年間、高校野球では「打高投低」が進んでいます。その証拠に2007年夏の甲子園大会の本塁打数は24本、2008年は48本、2009年は35本だったのに対し、10年後の2017年には68本、2018年は51本、2019年は48本となっています。大会によって差はありますが、増加傾向に転じているのです。

打高投低が進んでいる現代の野球に於て、送りバントは1死を与えるもったいない戦法と言えます。野球の世界には、データを統計学的見地から評価し戦略を考える分析手法としてセイバー・メトリクスというものがあります。その研究によると、送りバントで1死を与えることで、得点期待値が0.90から0.77へ減少することがわかっています(高校野球の場合)。このデータから考えても、送りバントは有効な手段ではないと言えます。

この結論は高校野球だけでなく、プロ野球でも同様です。2014~2018年のデータでは、無死1塁から1死2塁になることで、得点期待値は0.80から0.64に減少します。このことを考えても、送りバントは有効ではないと考えられます(蛭川晧平/著、岡田友輔/監修『セイバーメトリクス入門』より)。しかし日本の野球では、依然として送りバントを使う傾向にあります。なぜでしょうか? 次項では「送りバントの謎」をもう少し深掘りしてみたいと思います。

■それでも使われるのは野球の「得点の仕方」にある
ここまでで、無死1塁での送りバントは有効ではないことを、得点期待値から明らかにしました。それでも、日本の野球ではいまだ送りバントが使われる傾向にあります。私も現役の筑波大学硬式野球部の監督ですが、送りバントはよく使います。ここでは送りバントについてもう少し深掘りして、有用性について述べていきたいと思います。まず、そもそも「野球の得点」について考えてみましょう。野球では、1イニングのうちに3死取られる前に、走者が1塁→2塁→3塁→本塁と踏むことによって「1点」が得られます。「そんなことわかっているよ」と言われそうですが、球技によってこの「得点の仕方」には特徴があります。

たとえば、サッカーやラグビーのように、ボールをゴールや陣地に運ぶことによって得点する「ゴール型」や、バレーボールやテニスのように相手とネットを挟んで対面し、相手コートにボールを打ち込むことによって得点となる「ネット型」があります。実は球技における得点の仕方は、大体この2つに分類されてしまいます。

ところが、野球は人が得点となる「ベースボール型」です。これは珍しい部類に入り、その特性をつかんで競技をする必要があります。野球の得点の仕方がベースボール型であることを、私はよく「すごろく」にたとえます。すごろくは「ゴールにより近いところにいたほうが有利」です。1塁より2塁、2塁より3塁にいたほうが、次のサイコロの一投でゴールである本塁にたどり着く確率が高くなります。そのため、野球の監督は「送りバントを用いて走者を進めておいたほうがよい」と考えるのです。では、送りバントの成功率はどのくらいでしょうか?では、送りバントの成功率はどのくらいでしょうか??送りバントの得意・不得意もあり、「何をもって成功とするのか」も難しいのですが、基本的には狙いどおり「送りバントをして、1塁ランナーが2塁に進んだケース」を成功と考えます。

また「送りバントをしたところ、守備がエラーをして1・2塁になったケース」といったものも含みます。とにかく、「送りバントをすることで、その目的を果たした。もしくは目的以上に達した」という結果を成功と考えると、その確率はだいたい80%くらいになります。私も、毎年の自チームの送りバントの成功率を出していたことがあります。成功率が70%を切ってしまう打者もいましたが概ね80%程度の成功率でした。
(長文のため以下リンク先で)


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Source: 理系にゅーす