統合失調症や双極性障害は若い世代で多く、遺伝的な要因と患者を取り巻く様々な環境要因が重なって発症すると考えられている。また、患者には清涼飲料水を1日2リットル飲むなど、多量の砂糖を取る傾向があることが知られている。
研究班が精神疾患の発症と関連がある遺伝子に変異があるマウスに餌として大量の砂糖を与えたところ、物体の位置を認識する機能が低下したほか、毛繕いが異常に増えたり、巣作り行動が減ったりすることが確認された。また、砂糖を過剰摂取したマウスの脳では毛細血管の炎症があり、脳内の神経細胞の栄養となるグルコース(ブドウ糖)の取り込みが低下していた。
亡くなった統合失調症や双極性障害の患者の脳を調べたところ、砂糖を過剰摂取したマウスと同様に、脳の毛細血管に炎症が起こっていたことが確認された。平井さんは、グルコースの取り込みが低下することで脳の神経細胞に栄養が行き渡らず、精神疾患を発症している可能性があるとみている。
これまで精神疾患と脳の毛細血管の炎症との関連はわかっておらず、新しい治療薬の開発や予防に役立つと期待されている。
論文は米科学誌サイエンス・アドバンシスのオンライン版に(https://science.org/doi/10.1126/sciadv.abl6077別ウインドウで開きます)掲載された。(姫野直行)
朝日新聞 2021年11月11日 5時30分
https://www.asahi.com/articles/ASPCB6G0BPCBULBJ00Q.html?iref=comtop_7_05
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Source: 理系にゅーす