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1: 2021/09/25(土) 11:24:58.76
細菌やウイルスなどの病原体は、目や鼻、口、腸管などの粘膜からまず体内に侵入しようとする。これを最前線で排除するのが「粘膜免疫」だ。

 一方、粘膜免疫を突破して体内に侵入し、感染してしまった後に病原体を迎え撃つのが「全身免疫」だ。

 城に例えると分かりやすい。粘膜免疫は城の外で敵の侵入を防ぐ堀や石垣の役割を果たし、全身免疫はすでに城内に侵入を許した敵と戦うイメージだ。

 このように、二段構えになっている免疫だが、いつも通りの体調を維持し、感染そのものを防ぐ意味では粘膜免疫の強化が重要と言えそうだ。

 では、粘膜免疫はどのような仕組みで病原体が体内に侵入するのを防ぐのだろうか。

そのカギを握るのは腸の粘膜だ。

 「体の半分以上の免疫細胞は腸に集まっていると言われており、腸管の免疫は様々な免疫システムに影響を与えることが知られている」。免疫に詳しい国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所ワクチン・アジュバント研究センターの國澤純センター長はこう話す。

 代表的な粘膜免疫システムである腸管免疫について紹介しよう。

 小腸の粘膜には「パイエル板」という免疫組織があり、ここでリンパ球の一種である「B細胞」が病原体の情報を学ぶことで、免疫物質「免疫グロブリンA」を作る細胞へと成長する。

 免疫グロブリンAは病原体が私たちの細胞と結合するのを阻止する機能に特化した抗体だ。タンパク質でできており、「IgA」とも呼ばれる。

 病原体の情報を学んだB細胞はIgAを作り出し、小腸粘膜の表面で病原体に結合する。これで、感染の最初のステップを食い止めることができるのだ。

 「小腸粘膜の表面は、物理的に体の外側になるので、感染の最初のステップを阻害することで病原体が体内に侵入する前に防御できることになる。IgAは口腔や呼吸器でも産生されることから、インフルエンザウイルスなどにも有効だと期待される」(國澤センター長)

IgAが低下しやすい人の特徴

 しかし、IgAは20~30代をピークに加齢とともに低下していくことが報告されている。80歳以上の唾液に含まれるIgAを測定したところ、20~30代の半分以下しかIgAが分泌されなかったという研究結果がある。

 乳幼児や子どもも要注意だ。新生児は母親にもらったIgAなどで守られているが、乳幼児らは免疫を獲得する過程にあるため、感染症にかかりやすい。

 また、健康だと思っていても知らないうちに免疫力が低下していることもある。意外なことに、激しい運動をしているアスリートはIgAが低下しやすいという研究結果もある。

 受験生など強いストレスを受けている人でも、自律神経のバランスが乱れ、IgA分泌が減少するという報告がある。

 では、こういった人たちはどうすればいいのだろうか。國澤センター長によると、実は古くからIgAの産生には腸内細菌が重要であることが知られているという。

 「抗生物質で腸内細菌を減らしたマウスや、腸内細菌を持たない無菌マウスの腸管では、少量のIgAしか産生されなかったという実験結果がある。腸内細菌はIgAをはじめとする免疫機能を下げないための働きをしている」(國澤センター長)

 人間の腸内でも、パイエル板の内部に共生する腸内細菌が、IgAの産生を促進することが確認された。

 さらに、腸内細菌だけでなく乳酸菌でも同様の研究結果が得られている。例えば、Lactobacillus pentosus ONRICb0240(以下乳酸菌B240)を摂取すると、唾液中のIgAの分泌量が増えるという。
https://www.47news.jp/special/otsuka


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Source: 理系にゅーす