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1: 2022/04/16(土) 18:20:24.62
https://bunshun.jp/articles/-/53384

元火葬場職員・下駄華緒さんインタビュー #1

仲 奈々 1時間前

 あなたは、“火葬場”と聞いて何を思い浮かべるだろうか。神聖な場所、近寄りがたい……。なんとなくのイメージは持ちつつも、どんな人が働いて、どんな仕事をしているのか具体的に知っている人は少ないかもしれない。

『最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常』(竹書房)などの著書もある元火葬場職員の下駄華緒さんは、自身のYouTubeチャンネル『火葬場奇談』で毎日のように火葬場にまつわる話を公開している。そんな下駄さんに、これまであまり語られてこなかった、火葬場のリアルな現場を伺った。(全2回の1回目/2回目に続く)

◆◆◆

「火葬場職員の仕事って、何かええなあ」

――下駄さんが火葬場職員になった経緯を教えてください。

下駄華緒(以下、下駄) 直接のきっかけは、先輩が火葬場職員だったからですね。火葬場職員はなかなか身近にいなくて珍しいから、先輩に「どうやってなるんですか?」と聞いたら「求人誌で募集してる」って教えてもらいました(笑)。

 あと、同じ時期に僕のおじいちゃんの葬儀があったんです。お骨上げをしてくれた火葬場職員さんが、僕たち遺族の前でおじいちゃんの人生をねぎらってくれて、親族一同「じーん」としたんです……。その時に「火葬場職員の仕事って、何かええなあ」と思ったんですよね。そんなきっかけが重なって、自分から求人に応募しました。

――火葬場ではどんな方が働いているのでしょうか。

下駄 実は、火葬場はもともと公営のところが多かったんです。だから、職員歴何十年のベテランの火葬場職員は、元公務員が多いですね。最近は行政に委託される民間業者もどんどん増えていて、そういうところには20~30代の若い人も結構います。

――仕事内容を教えていただけますか?

下駄 仕事は大きく2つにわけられます。火葬そのものと、お骨上げです。人によりけりなのですが、僕はどちらかと言うと火葬よりもお骨上げが好きでしたね。

人と関わるお骨上げには“ストーリー”がある

――なぜお骨上げの方が好き?

下駄 火葬は1人で黙々と作業することが多いので、火葬してて誰かに怒られることはない。一方で、お骨上げは人との関わりなので、全然マニュアルどおりにいかないことばかりなんです。でも僕はそういうところに“ストーリー”があっていいなと思うんですよね。

――お骨上げの最中には、具体的にどんなストーリーがあるのでしょう。

下駄 ほっこり系と怖い系の話があるので、それぞれお話ししますね。

 まずはほっこり系。ほっこりというか、ある意味困った話なんですけど。火葬場職員って、基本的に笑っちゃいけないんですよ。もちろん愛想笑いもNG。それを知ってか知らずか、ときどき職員を笑わそうとしてくる人がいるんですよ。

 ある時のお骨上げで、下顎がきれいに残ったご遺体があって。かなりご高齢の方だったのですが、歯もしっかり残っていました。それを見て、「わしの入れ歯、ここにあったんか~!」とボケるおじさんがいて。

――それはきつい……。では、怖い系は?

下駄 人間的な怖い話なんですけど、遺族の中にはなぜか「骨壷を持ち帰った人が遺産を相続できる」と思い込んでいる方がたまにいるんですよ。実際にはそんなことないのに。それで、遺族同士で誰が遺骨を持ち帰るか、お骨上げの最中に争うことがあるんです。

 ある時、おばあちゃんとおじさんが2人で骨壷を奪い合い始めて。僕もなだめていたんですが、あまりに激しく奪い合った結果、おばあちゃんの腕の骨が折れて「ぶらーん」ってなったんですよね。

 それでもおばあちゃんは「骨壷は絶対渡さへん!」って譲らなくて。腕をぶらーんぶらーんさせながら。この時はさすがにびっくりしましたね……。

――本当に、お骨上げはマニュアル通りにいかないことだらけですね……。

下駄 そうですね。あとは、お骨上げで人と関わることが多いからこそ、「この職業に対する偏見はまだまだ残っているな」と感じましたね。

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Source: 理系にゅーす