現在の治療法は虫歯を削って詰め物をしたり、被せ物をするのが主流だ。だが近い将来、もっとシンプルな方法で歯を守れるようになるかもしれない。
歯のエナメル質を再生する方法が発見されたからだ。ていうか今直ぐにでもその技術を実用化して欲しいとマジで思うわけだ。
歯の白さはエナメル質の白さ
歯が白く見えるのは、一番外側をおおっているエナメル質が白いからだ。これはまだ歯が歯茎の中にあるとき、「エナメル芽細胞」がタンパク質を分泌することでつくられる。
ところがエネメル質の形成が完了して、歯がきちんと生えてしまうと、エネメル芽細胞は死んでしまう。だからその後はずっとエネメル質が失われていくことになる。
また虫歯菌がブドウ糖などを代謝して、乳酸といった酸をつくり出すために、エナメルやその下にある象牙質や歯髄が溶けてしまうこともある(要は虫歯だ)。
エナメルの損傷がほんの少しだけなら、唾液やフッ素入りの歯磨き粉といったもので、再生することができる。しかし目に見えるくらい、虫歯の穴が大きくなってしまえば、がりがりとドリルで削って詰め物をするしかない。
ペプチドでエナメル質を再生する治療法
だが2018年に『ACS Biomaterials Science & Engineering』で発表された治療法なら、このエナメル質を再生することができる。
米ワシントン大学の研究グループが注目したのは、エナメル芽細胞がつくり出すタンパク質の1つ「アメロゲニン」だ。
アメロゲニンはエナメル質に含まれるタンパク質の9割を占める重要なものなのだが、研究グループはこれに基づいた「ペプチド」を設計した。
ペプチドとは、簡単に言えば、タンパク質とみなせるほど長くはないアミノ酸のつながりだ。だから、これを歯に塗布してやれば、エナメル質の再生が促進されると期待できる。
軽度の虫歯なら歯を削る必要がなくなる
実験で、人工的につくられた虫歯にペプチドを塗布したところ、溶けた(脱灰した)エナメルに新しいエナメル質ができ(再石灰化)、その下にあるエナメル質と融合したとのことだ。
エナメル質の下にまで届くような深い穴ができてしまった場合には、これまで通り詰め物をする必要がある。
それでも、たとえばこのペプチド入りの歯磨き粉を毎日使えば、虫歯予防効果が発揮され、面倒な歯医者に通う回数を減らせるだろうという。
今後は実際の患者で試してみて、実験と同様に確かなエナメル再生効果が得られるのかどうか確かめることが課題であるそうだ。
ちょっとこれは早いところ実用化して欲しい。とは言え私の9本の虫歯の治療が終わるまでには間に合いそうになさそうだけども。
https://news.biglobe.ne.jp/trend/0708/kpa_210708_5419273900.html
続きを読む
Source: 理系にゅーす