job_tobisyoku
1: 2021/11/04(木) 16:00:29.56
日常的な運動は健康に良いことが分かっていますが、仕事上の肉体労働の場合は、そうとも言えないようです。

先ごろデンマークで行われた研究で、仕事として行う高強度の身体活動は、心血管疾患(心筋梗塞など)のリスク減少や死亡リスクの減少には結びつかず、かえってリスクが上昇する恐れがあることが分かりました。

現在、健康と運動に関する各国のガイドラインは、「余暇時間の運動」と「仕事関連の身体活動」を区別していません。
余暇時間に体を動かすこと(スポーツ、レクリエーション、旅行など)が、心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中など)のリスクと、あらゆる原因による死亡のリスクの低下に関係することは示されています。
しかし、仕事上で必要とされる身体活動(肉体労働)と健康の関係については、一貫した結果は報告されていません。

余暇時間の身体活動はバラエティーに富んでおり、強度もさまざまに選べて、いつでも自由に休憩を取ることができます。
しかし、肉体労働の場合は状況が異なり、同じ活動を長時間継続することが求められ、運動強度も一定で、あらかじめ決められたタイミングでしか休憩できない場合が多いと想像されます。
過酷な肉体労働が疲労感や血圧・脈拍の上昇と関係することは、これまでにも示されていました。

そこでデンマークの研究者たちは、「余暇時間の運動は、主要な心血管有害事象(MACE、*1)のリスクと、あらゆる原因による死亡(総死亡)のリスクの低下に関係し、肉体労働はそれらのリスクの上昇に関係する」という仮説を立て、検証することにしました。

まず、余暇時間の運動レベルが低かった集団とそれ以外の集団で、MACE発生率を比較しました。
分析に影響すると予想された、年齢、性別、BMI、喫煙歴、学歴、糖尿病の有無、収縮期血圧、降圧薬使用の有無、食事嗜好、飲酒習慣、COPDの有無、コレステロール値などを考慮して、MACEのリスクを比較したところ、低レベルの集団に比べ、それよりも運動レベルが高い集団のリスクは有意に低くなっていました。
死亡のリスクも同様に、運動レベルが中以上の集団で有意に低いことが示されました。

一方で、肉体労働について同様に比較すると、身体活動レベルが高い、あるいは非常に高い集団において、MACEと死亡のリスクが有意に高くなっていました。

生活習慣や、健康状態、生活状況、社会経済的特性に基づいて対象者を細かく層別化し、同様の比較を行いましたが、結果は一貫していました。

著者らは、余暇時間の運動と肉体労働のレベルの間に、相乗効果や相加効果などが存在するかどうかを調べるために、それぞれの運動レベルを組み合わせた分析を行いましたが、それらの間に有意な関係は見られませんでした。
これは、肉体労働レベルとは関係なく、余暇時間の運動レベルが高いほど、MACEまたは死亡のリスクは低い傾向があること、一方で、余暇時間の運動レベルとは無関係に、肉体労働レベルが低いほど、MACEまたは死亡のリスクは低い傾向があることを意味します。

以上の結果は、仕事の上での身体活動は、余暇時間に行う運動の代替にはならないこと、
身体活動レベルが高い仕事をしている人も、日々十分に休息でき、休日には活発に運動できるような労働環境を整えることが、国民の健康を守るために大いに役立つ可能性を示唆しました。

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2021.10.26
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Source: 理系にゅーす