人類が地球に与えた影響のほとんどは、ホモ・サピエンスが石炭の力を大規模に利用しはじめた、約三〇〇年前の産業革命以降に発生している。
石炭は、エネルギーに富んだ針葉樹林の遺物からつくられる。石炭につづき、人類は石油を発見、採掘する方法を学んだ。
石油は、プランクトンの化石が、堆積した岩石によってゆっくりとしごかれ、加熱されることで変化し、エネルギー密度の高い液体炭化水素の混合物になったものだ。
農業によって増加しはじめた人口は、化石燃料を燃やすことで拍車がかかったが、この人口爆発は、わずか数世代のあいだに起きた。
人類による騒乱
二酸化炭素は、二酸化硫黄や窒素酸化物などとともに、化石燃料の燃焼によって生じる重要な副産物だ。石油の加工により、鉛からプラスチックにいたるまで、さまざまな汚染物質が放出されるようになった。
その結果、気温の上昇、動植物の絶滅、海の酸性化によるサンゴ礁の破壊などが起きている。
これは、マントル・プルームが有機堆積物をつらぬいて燃やし、地表に到達するのと同じくらい甚大な影響だ。
ペルム紀がマントル・プルームの噴出によって苦渋の結末を迎えたのとは対照的に、今回の人類による擾乱は、きわめて短時間で終わるだろう。
すでに、二酸化炭素の排出を減らし、化石燃料以外のエネルギー源を見つけるための対策がとられている。
「何かが起きた?」
人類が引き起こした炭素の急上昇のグラフは、ピークは高いが幅は針のごとく狭く、おそらく長期的には検出できなくなるだろう。
人類が大量に存在したのは非常に短い期間であり、たとえば二億五〇〇〇万年後には、ほとんど遺骨が保存されていないはずだ。
きわめて感度の高い検出機器を使う未来の探鉱者たちであれば、新生代の氷河時代に入って少ししてから「何かが起きた」ことを示す、珍しい同位体の痕跡を検出することができるかもしれない。
ホモ・サピエンスは消滅する
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Source: 理系にゅーす