砂丘を巡視する鳥取県の「鳥取砂丘レンジャー」によると、2019年はボランティア約3700人が集まったが20年はコロナ禍で地元企業の参加が減るなどし、約1900人。今年は8月上旬の活動が中止となり、さらに下回る見込みだ。
レンジャーの竹ノ内司修さん(57)は「除草が追いつかず、雑草がどんどん濃くなっている」と話す。ここ数年は雨や雪が多く、特に今夏は前線停滞による異常な長雨が雑草の成長を促進し、緑化に拍車を掛ける。
約150ヘクタールの鳥取砂丘には、厳しい自然環境に適応したハマゴウなどの「砂丘植物」が自生する一方、1970年代ごろからイネ科のチガヤなどが飛来し、繁殖。90年代には砂丘全体の約42%に雑草やマツなどが広がったという。砂が風で動いてできる現象「風紋」や「砂簾(されん)」が見られにくくなり、景観にも深刻な影響が出た。
除草は94年に県や鳥取市の主導で開始。当初は重機を用いていたが、現在は生態系を傷つけないよう原則、手作業で行う。2004年からは地元住民や企業を中心にボランティアを募り、これまで延べ約7万5千人が参加。18年には雑草域は約28%まで縮小した。
雑草を取り残すと翌年にはさらに増えるため、県は除草業者への委託も検討するが、竹ノ内さんは「除草は砂丘環境に触れるいい機会。これからもボランティアの皆さんと共に世界に誇れる特異な自然を一緒に守っていきたい」と話す。
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Source: 理系にゅーす