石川県警による自転車の一斉取り締まりを取材中、片耳にイヤホンを装着した高校生をちらほら見かけた。なぜ片方だけなのだろう? 北陸中日新聞の双方向報道「Your Scoop(ユースク)みんなの取材班」として調べてみることに。取材してみると、10年以上前の説明がインターネット上で独り歩きし、広がっている背景が見えてきた。(北陸中日新聞・鈴木里奈、写真も)
今年5月30日朝、金沢市片町の市道では、自転車に乗りながらワイヤレスイヤホンを一つだけしている人、片耳にコードを引っかけてイヤホンが揺れている人が次々に呼び止められ、警察官から注意を受けた。一人の男子高校生に尋ねると、「片耳だけなら、周りの音が聞こえるから大丈夫という県があると聞いたことがある」と話した。
「禁止」明文はなし
道路交通法ではイヤホン禁止は明文化されていないが、石川、富山両県公安委員会が定める同法施行細則では「カーラジオを聴き、またはイヤホン、ヘッドホンを使用して音楽を聴き、安全な運転に必要な音または声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと」と書かれてある。
では、片耳はイヤホンをせず、周囲の音が聞こえている場合は許可されるのか-。明確に違反とは言えないが、石川県警では片耳イヤホンの使用者になるべく声をかけて注意し、富山県警でも場合によっては注意しているという。
高校生が話していたうわさの根源はネット上で見つかった。県とは、神奈川県のこと。同県警に調べてもらったところ、2011年9月からホームページのQ&Aコーナーで、「運転中に片耳のイヤホンで音楽やラジオを聞くのも違反ですか?」の質問に対し、「片耳でのイヤホンの使用は、『安全な運転に必要な音または声が聞こえない状態』とはならないため、違反となりません」という回答が掲載されていた。
HP更新で回答が変更
ホームページは14年7月に更新され、同じ質問に対し「イヤホンやヘッドホンの使用形態や音の大小に関係なく、安全な運転に必要な音または声が聞こえない状態であれば、違反となります」との回答に変わった。だが、以前の回答が消えた今も、「神奈川県では片耳イヤホンでも大丈夫らしい」と話題になった記載が独り歩きし、石川県でもこの理屈が信じられていたのだ。
神奈川県警交通総務課の佐藤和子課長補佐は片耳イヤホンについて「音が鳴っているか立証できないため、違反にはならない」としつつ、現場で見つけた場合は指導すると明かした。「音楽を聴くのに集中してしまうので、片耳や両耳かは関係なく好ましくない。命を守る意識を持ってほしい」と呼びかけた。
取り締まり強化、指導警告数増加
石川県警は、今年4月にヘルメット着用が努力義務化されたのを踏まえ、悪質な自転車利用者への取り締まりを強化している。5月末時点で指導警告数は1119件で、前年同期比で194件増えた。
内訳は無灯火運転が245件、歩道通行者に危険を及ぼす違反(並進など)は192件、携帯電話の使用が149件。イヤホンの使用などは124件だった。交通指導課の担当者は「ほかの車や歩行者に危険を生じさせる違反、警察の再三の警告に従わない悪質な違反については検挙措置を講じたい」という。
西日本新聞 2023/8/14 17:00
https://www.nishinippon.co.jp/item/o/1112966/
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Source: 理系にゅーす
