この地をねぐらとするカラスは最大1万羽ともいわれ、今の時期多いのは体長50センチ程度のハシボソガラスだという(実験に協力した長岡技科大の山本麻希准教授)。雑食で日中は周辺の畑などで昆虫などをついばんでいるが、夜には新幹線や在来線構内の架線や送電線に止まって過ごす。ヘビなどの外敵に襲われる危険が少なく、風雨もしのげるため、ランドマーク的な建物に集まりやすいという。
市がカラスを追い払い始めたのは、1999年にさかのぼる。鷹匠がタカを1羽放ったり、カラスの死骸の模型で脅かしたりしたが、効果は一時的だった。近年ではカラスが嫌う忌避音をスピーカーで流したり、強力なレーザーポインターをカラスの目に照射したりしたが、しばらくするとカラスはまた戻ってきた。
カラスを追い払うのは、景観を損なうという理由のほか、深夜未明の「ガーガー」という鳴き声による騒音やふん、においの被害に住民が悩まされているためだ。駅から約1キロ離れた社宅に住む50代男性は「屋根付きの車止めに入れているのに、明け方カラスの鳴き声で起こされて、行ってみると車の上がふんまみれだった」と憤慨する。
今年6月15日も駅周辺ビルの屋上で、カラスが警戒する鳴き声をスピーカーで流す実験を実施。カラスは立ち去り、一定の効果が見られた。ただ市によると、周辺住宅や列車の運行に影響を及ぼす可能性があり、大きい音量でたびたび流すのは難しい。ねぐらを断念させ一掃するほどの効果はなさそうだ。
次に市が取り入れたのは新型レーザー照射装置。6月27日夜には照射実験を長岡駅東口で実施し、報道陣をはじめ関係者が大勢集まった。普段と様子が違うせいか、予定時刻を過ぎてもカラスは実験箇所に集合しない。「警戒しているのです」。カラスの動向に詳しいJR職員が気持ちを代弁し、全員が一時、近く建物の陰に隠れてカラスの集合を待った。「何してるんですか?」。暗がりの人だかりに、好奇心の強い近所の子どもも窓を開けて見物し始めた。
暗くなるにつれカラスは所定の架線に集まり始め、午後7半過ぎにようやく実験開始。一瞬の出来事だった。JR職員の監督下、市職員が決められた架線にレーザーを当てると、カラスは一目散に飛び去った。
装置を開発した専門業者のチームリーダー、西谷明さんによると、今回は、赤と緑の各37本のレーザーを回転させながら面としてカラス目がけて照射するもので、人の目には害のない出力レベル。カラスの目の焦点を混乱させることで追い払うという。西谷さんは「このレーザーを当てられたカラスは1週間は戻ってこない」と胸を張った。しばらくすると同じ架線上に数羽止まり始め「あれは照射されてない別のカラスです」と言い、すかさず照射し始めた。
市環境政策課の里村誠課長は「効果が確認できたので、今後は忌避音とレーザーを組み合わせ、JRや商店街の関係者と協力しながら、カラスを追い払いたい」と話した。市は駅東口ビルの屋上3カ所に忌避音の再生装置を設置。週3回、一定の範囲でレーザー照射を継続している。
山本准教授は、カラスが高病原性鳥インフルエンザウイルスを運搬しかねないことに注意を促し「1カ所ではなく、全部に継続的にレーザーを当て続けることでカラスにねぐらを諦めさせないといけない。カラスとの根比べです」と強調した。
毎日新聞 2023/8/1 09:35(最終更新 8/1 09:35)
https://mainichi.jp/articles/20230801/k00/00m/040/022000c
https://cdn.mainichi.jp/vol1/2023/08/01/20230801ddlk15040441000p/9.jpg
続きを読む
Source: 理系にゅーす
