イエメンの漁師たちが、マッコウクジラの死骸の中にあった「アンバーグリス」を見つけ、1億7000万円相当の金額での売却に成功した。
アンバーグリス、別名「竜涎香(りゅうぜんこう)」は、マッコウクジラの腸内で作られる結石で、消化できなかった餌などが固まってできたものと考えられている。この動物性のオイルは香水に用いられ、その希少性から最高級の商品にしか使われないという。今年2月に見つかったこのアンバーグリスの総量はおよそ127キロで、近年報告された発見事例のなかでも、最大級のものだ。
マッコウクジラの死骸が見つかったのは同国の港町アデンの湾。35人もの漁師たちは長年の経験から海面に浮かぶ死骸がマッコウクジラだと察知し、ボートで岸まで運んだと、英紙「インディペンデント」は書く。
同じく英国のメディア「ミドル・イースト・アイ」は、人口の3分の2が人道的支援を必要とし、いまなお紛争に苦しむイエメンにおいて、「数少ない良いニュース」だと報じている。
■貧困から抜け出せる奇跡
漁師たちは取り出したアンバーグリスを売却する前に利益を折半することに同意。漁師は家を買ったり結婚を計画したりと、貧困から抜け出すことに成功したという。また彼らの故郷であるアルカイザ村にも経済的な援助を行った。
漁師たちの出身地であるアルカイザ村には、戦闘が続くフダイダの地から逃れてやってきた者も住んでいる。前出の「ミドル・イースト・アイ」によれば、紛争中に海に出ることは危険で、何千人もの仕事が奪われているという。そのため、フダイダから450キロほど離れたアデンには、多くの人が漁師としての仕事を求めてやってくる。とはいえ、自分で船を所有することは難しく、わずかながらの収入で生活を送っているのが現状だ。
同エリアの漁師であるサイード・モリーはこう話す。
「マッコウクジラを見つけた漁師は幸運ですよ。誰かのために働く労働者から、自分で船員を雇うオーナーに変わることができるのですから」
2min | 2021.6.2
https://courrier.jp/news/archives/247935/
■ アンバーグリス参考画像
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/b1/Ambergris.jpg/1280px-Ambergris.jpg
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/3c/Ecomare_-_ambergris_van_potvis_in_2012_%28potvis2012-ambergris-2164-em%29.jpg/1280px-Ecomare_-_ambergris_van_potvis_in_2012_%28potvis2012-ambergris-2164-em%29.jpg
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Source: 理系にゅーす