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1: 2021/09/26(日) 15:47:29.27
日本の電化製品が衰退した理由

 マイケル・ポーターは、経営戦略論の古典として知られる『競争の戦略』の著者であり、競争戦略を定義し、「バリューチェーン」や「ファイブフォース分析」などの多くの競争戦略手法を提唱しています。ピーター・ドラッカー同様に、経営現場でその手法などが活用されています。今回は、「競争戦略」の基本定義と、「バリューチェーン」に関して経営実務にどう実装できるかを解説します。

 はじめに、日本の電化製品が近年なぜ外資系メーカーの製品に押されてしまったのか、ポーターの理論と顧客戦略(WHO&WHAT)を通してひもといてみます。1980年代、日本の電化製品はその基本性能の高さと低価格で、世界を席巻しました。その後、世界に誇る品質と低価格を実現する製造力で、各メーカーが機能開発にしのぎを削りましたが、90年代から2000年代にかけて、その勢力はどんどん衰えていきます。代わりに中国や韓国のメーカーが世界で台頭するようになり、シンプルな機能と低価格な製品を提案することで日本市場でも支持を集めていきました。

 為替の問題や政府の産業支援などの環境も影響しましたが、日本のメーカーが、低価格競争を避けるべく機能追加で差別化しようとしていたことは事実です。では、なぜそれが奏功しなかったのか。答えのひとつは、その差別化が顧客の望むものではなかったこと。もうひとつは、そもそもポーターが提唱する「差別化」を誤って解釈していたことだと考えています。

 競合に対して何らかの機能の差や新機能をつけたとしても、顧客がそれに価値を見いださなければ、競争優位性は成立しません。ポーターの理論「差別化戦略」では、「競争優位を獲得できる区別」を差別化と称しているのですが、「優位」が顧客の判断するものであると理解しないまま、顧客にとっての価値になっていないものも差別化と扱われてきました。

 どの顧客に(WHO)何が(WHAT)受け入れられ、価値を見いだされるのか、顧客戦略を見定めずに機能開発に投資すると、バリューチェーン内に発生する開発コストがネックになります。プロダクトの価格で吸収しようとしても、顧客にとって付加価値になっていないので、高価格で売れるわけはありません。結果、海外の競合が、ますますコスト構造上の優位性を獲得する、つまりコストリーダーシップ戦略を取りやすくなる状況が生まれ、日本の電化製品はどちらにも戦略ポジションを築くことができず、バリューチェーンも最適化できないまま衰退してしまいました。

 ポーターの言う「差別化戦略」「コストリーダーシップ戦略」は、事業にとっての単純な選択肢ではありません。顧客に対して価値を提供する顧客戦略が成立するかどうかが選択の起点になっており、それを支えるバリューチェーン構築やその変化の考察と合わせて判断しなければならないのです。

全文はソースで
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/20/00045/091700017/


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Source: 理系にゅーす