親の収入や学歴は、子どもの運動能力と相関していることがわかってきた。
筑波大学体育系教授の清水紀宏さんは「親の収入や学歴が低いほど、子どもの運動能力も低くなる傾向がある。
こうしたスポーツ格差は深刻な問題になりつつある」という――。
【図表をみる】「クラスの人気者」の条件(小学校高学年)
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※本稿は、清水紀宏編、春日晃章、中野貴博、鈴木宏哉『子どものスポーツ格差 体力二極化の原因を問う』(
大修館書店)の一部を再編集したものです。
■学力が低い子どもは体力がない傾向にある
ここからは、児童生徒及び保護者へのアンケート調査と体力・運動能力の測定データを関連づけて分析した結果を中心に
紹介する中で、①スポーツ格差の存在(格差はあるのか)、②スポーツ格差の原因、③スポーツ格差が子どもたちに及ぼす
影響などについて明らかにしていきたいと思います。
お茶の水女子大学(2014)が文部科学省による平成25(2013)年度の全国学力・学習状況調査(ナショナルビッグデータ)と
補完的に実施した保護者用調査のデータを結合させて、家庭背景による学力格差の状況を明らかにして以降、
学力格差の存在はもはや揺るぎのない現実と認識されています。しかし、体力・運動能力のデータについては、
未だ非公開のため体力や運動能力が子どもたちの家庭背景とどのように関係しているのかについては、未知のままです。
しかし、特に近年になって体力と学力・認知機能との関係性に着目した研究が国内でも少しずつ進められています
(東浦・紙上、2017)。
例えば、春日らの研究グループは、スポーツ庁の全国体力・運動能力、運動習慣等調査と文部科学省の
全国学力・学習状況調査のデータを用いて体力と学力の関連性を分析し、小・中学生ともにすべての学力項目
(国語の基礎・応用問題、算数・数学の基礎・応用問題及び学力合計)と体力合計点との間に有意な関連(0.1%水準)が
認められることを2019年開催の日本体育学会第70回大会において発表しました。
このように国内外の研究成果ともに、体力と学力が有意に関係していることを明らかにした研究が多くなっています
(ただし、完全に見解が一致しているわけではありません)。
そこで、本調査の対象者にも同様の関連が見られるのかを分析した結果が図表1、図表2になります。
今回の調査では既述の通り、学力テストの実測値を取得しませんでしたので、児童生徒自身によるによる
学力の自己評定を「上の方」から「下の方」までの5件法で回答してもらった結果を使用しました。
学力の段階別に体力得点を比較(一要因分散分析)したところ、小学校高学年では、握力とボール投げを除く
すべてのテスト種目で、中学生では握力を除くすべての種目で有意な関連が認められました
(特に、反復横跳びとシャトルランは学力と関連が強い)。
■体力が向上すれば学力も向上するという研究もある
また、小学校高学年よりも中学生において、学力の高低による体力差は拡大していました
(特に学力低位の生徒の体力が低い)。このことから、学力の低い子どもは体力・運動能力も低い傾向があること、
また、この傾向は学年が進むにつれて顕著になる傾向にあることが明らかとなりした。
先行研究では、学力と体力の因果関係(どちらが原因でどちらが結果か)についても検証が進んでいます。
日本の子どもを対象にした縦断的研究では、運動部に所属して体力が高まると学業成績が向上し、
運動部を途中退部すると学業成績が下がったことから、運動することが体力を高めるだけでなく、
体力の変化が学力の変化を引き起こす要因であると考えられています(石原、2020)。
今回の分析結果と先行研究の成果を踏まえると、教育関係者が関心を寄せる学力問題(学力低下や
学力格差)の改善に向けた一方策として、体力低下傾向に歯止めをかけ、体力・運動能力の二極化傾向を
改善することが有効だといえるのではないかと考えます。
つまり、体力問題への対応が、同時に学力問題の解決につながっていくということです。
※以下、全文はソースで。
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Source: 理系にゅーす
