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1: 2021/08/30(月) 02:09:56.29
 強風や大雨のさなか、田畑や水路などの様子を「ちょっと見に行ってくる」と出掛けて、被害に遭うケースが毎年のように後を絶たない。実際に様子を見に行った経験のある人も多いのではないだろうか。危険な行動のはずなのに、外出してしまうのはなぜなのか。台風の接近しやすいシーズンが続く中、そういった災害時の行動の心理を探り、わが身を守る心構えや避難行動についてあらためて考えてみたい。

 記録的な大雨となった14日、庄原市の兼業農家の男性(69)は雨脚が弱まった昼前、裏山の農業用ため池の確認に向かった。

 地元には、2018年の西日本豪雨の土砂災害の爪痕が残る。「雨が降ったら危ないから見に行くな」と忠告する住民もいるが「危険な目に遭ったことがないし、気を付けとるけえ大丈夫よ」と出掛けたという。

 ため池に着くと、つながる水路から水があふれ、道路に流れ出していた。「こりゃ、いけん」。男性は自宅に戻るどころか、慌てて住民数人を呼び、水路に詰まった土砂などを取り除いたという。ため池の管理を10年以上担ってきた。「田畑まで土砂が流れてきたら、せっかくの実りが台無しになる。わしらが守らんと」と言い切る。

 はた目から見ると危ないのにどうして多くの人が「ちょっと見に行く」などとリスクを伴う行動をしてしまうのだろう。

 山口大の高橋征仁教授(社会心理学)は「年代や性別で違いがある」とし、とりわけ高齢の男性は自分の縄張りをチェックする「スカウティング(偵察行動)」に走りがちだと分析する。家族や地域への責任感が強く、行動によって責任を果たそうと考えてしまう。資産を守るためなら高齢の自分が犠牲になっても構わない―。そんな心理が働くとみる。

 若い男性もスカウティングをしがちで、危うい行動を取ることで自分を試そうとしたり、挑戦しようとしたりする傾向があるという。女性の場合、親や子どもを助けたいという思いの人が多いとみる。

 「いずれの行動も無意識的なものを含み、人の進化の中で構築されてきたとみられる」と高橋教授。人には火よりも水をあまり恐れない特性もあり、「大雨でも、被害に巻き込まれかねない危険性を直前まで認識しづらいところがある」と指摘する。

 広島市の40代会社員男性も、13日昼ごろ増水した川へ近づいた。河川敷のグラウンドは小学生の息子が所属する野球チームの練習場。「グラウンドの土が流されたら、僕らが再整備することになる」。被害がないか気をもむメンバーは少なくなく、女性の保護者たちも近づいた。

 男性は出掛ける前にインターネットで川の水位の画像を確かめたが、グラウンド付近にはカメラがない。「じかに見た方が安心できる」。濁流に漬かり始めたグラウンドの写真を撮り、無料通信アプリLINE(ライン)に上げて保護者間で共有した。「危ないと思うけど、確認するだけだから、という気持ちもある」と打ち明ける。

 高橋教授は、衝動的に行動せず、「ひと呼吸置く」よう勧める。危うい場所に近づいて行方不明になると、家族に心配をかけてしまい、捜索のために二次被害を引き起こす危険性もある。果たして責任ある行動なのかどうか。命を失う最悪の事態もある中で本当に必要な行為なのか…。「思いとどまることで担保される安全がいかに大きいかを、一人一人はもちろん、家族とも共有してほしい」と呼び掛ける。

8/29(日) 18:01配信 中国新聞デジタル
https://news.yahoo.co.jp/articles/fb79deba4b7b2787b07cf1f53a95a46f0658bcc7
イラスト
https://amd-pctr.c.yimg.jp/r/iwiz-amd/20210829-00010009-chugoku-000-1-view.jpg


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Source: 理系にゅーす