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西日本新聞 5/13(金) 9:41

24時間体制で稼働するもやし工場。機械化が進み、従業員の数は少なかった=4月28日、茨城県小美玉市
 身近な食料品で値上げが相次ぐ中、1袋が数十円の手頃さで家計を支え続けている「もやし」。「なぜこんなに安いのか」。福岡市の女性会社員(43)から、西日本新聞「あなたの特命取材班」に疑問が届いた。その背景を探ると、合理化を徹底する生産現場や、安売りの“目玉”として販売する流通の実態が見えた。だが、ロシアのウクライナ侵攻や円安などで生産コストが上がる一方で、業界からは「2円でも値上げさせて」と悲鳴が上がる。

【画像】もやしの100グラム当たりの平均購入価格

 茨城県南部の湖・霞ケ浦に臨む小美玉市。旭物産(水戸市)のもやし生産現場は近代的な工場だった。大量のもやしが生産ラインを絶え間なく流れ、自動で袋詰めされる。24時間稼働し、生産量は1日40トンに上る。

 案内してくれたのは林正二社長(68)。全国の業界団体「工業組合もやし生産者協会」(東京)の理事長を務める。安い理由を尋ねると、「設備投資で可能な限り人件費を抑え、合理化の努力をしてきました」と話した。温度管理された工場で、原料の緑豆を10日前後育てて出荷する工程に、カメラによる検品システムなどを積極導入している。

 しかし、世界的なインフレの波は、もやしにも押し寄せる。新型コロナ禍からの急激な経済回復による原油価格や物流費の高騰が直撃。主に使う中国産の緑豆の価格は、現地の作付面積の減少や天候不順で、過去十数年で最も高い水準になった。

 協会は2月21日、「もやし生産者の窮状について~消えゆくもやし屋」という文書を発表し「経費削減への努力は限界を超え、健全な経営ができていません」と訴えた。その3日後にロシアの侵攻が始まり、3月からは円安も進んだ。燃料や包装資材など生産コストの高騰が一段と加速した。

 一方、店頭の安売りは常態化している。総務省の家計調査(2人以上の世帯)によると、100グラム当たりの平均価格は2000年は19・15円だったが、13年には14・64円に下がり、21年も15・33円に低迷。一般的に200グラムで1袋の出荷価格は20円台で、コスト上昇分の価格転嫁が進まない。12日に東京都品川区のスーパー2店を訪れると、表示価格は29円と38円だった。

 安い理由に、年間を通して安定供給され、旬がない点がある。林理事長は「価格の変動がないから、もうからないんです」と工場生産ゆえの悩みを指摘。また、長崎県内で青果店を営む男性(65)は「もやしは客寄せの道具。他の野菜が高いときも安く売れるので重宝しています」と証言する。

 合理化が進んだ生産工程や安く抑えられる価格を背景に、生産量は増えている。採算が合わなくなった業者の淘汰(とうた)が進み、生産者は110と、この25年で8割も減ったという。林理事長は「安すぎる価格を正常と思わないでほしい。値下げ競争が進めば、生産者にしわ寄せが来ます」と語る。

 もやしの生育には水が欠かせず、小美玉市の工場では1日2千トンほどの地下水を使う。緑豆にまける温度まで加熱するボイラーには重油がいる。機械を稼働させる電気代もかさむ。

 燃料、電気、包装資材、物流…。「上がっていないコストはない」と言う林理事長は切実に訴える。「一生懸命に心を込め、手間暇をかけている。2~4円でいい。コストを転嫁し、価値に見合う価格で販売させてほしい」 (金沢皓介)

https://approach.yahoo.co.jp/r/QUyHCH?src=https://news.yahoo.co.jp/articles/31e9cdd13ea5bd2d57b39596e5c710c7c8927ce6&preview=auto


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Source: 理系にゅーす