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1: 2022/03/15(火) 20:29:04.81 _USER9
実は国内のほとんどのコイはユーラシア大陸原産のれっきとした外来種

テレビ東京「池の水ぜんぶ抜く大作戦!」に出演中の久保田潤一氏【写真:本人提供】

 三重県・伊勢市内を流れる宮川の支流・馬瀬川で、地元のボランティア団体が川をかつての姿に戻そうと13日にコイの稚魚200匹を放流した。このニュースが報じられると、「コイは外来種でしょ」「逆に環境に悪影響では」とネットを中心に炎上。コイを川に放流することで自然環境にどんな影響があるのか。テレビ東京「池の水ぜんぶ抜く大作戦!」にレギュラー出演、先月には著書「絶滅危惧種はそこにいる」(角川新書)を出版した特定非営利活動法人「NPO birth」自然環境マネジメント部部長の久保田潤一氏に聞いた。

【写真】池で原っぱで田んぼで公演で…「絶滅危惧種はそこにいる」

「まず前提として、コイは外来種で、世界の侵略的外来種ワースト100に入っており、環境に深刻な影響を与えることが分かっています。ただ、特定外来生物ではありませんし、環境省が定める侵略的外来種リストにも入っていないので、庭園の池などきちんと管理した場所で観賞用に飼育することは全く問題ありません」

 外来種、外来生物とは、人の力で本来いないところに持ってこられた生物のこと。外国から持ち込まれた生き物のイメージが強いが、北海道のカブトムシなど、たとえ国内であっても本来いなかったところに運ばれれば外来生物となる。外来種の中でも、生態系や人間の生命・身体、産業に深刻な影響を与える可能性のあるものは特定外来生物に指定され、アライグマやマングース、千葉を中心に増えているキョン、ウシガエル、ブラックバスなどがこれに当たる。コイは日本でも古くから親しまれている一般的な魚だが、実は国内のほとんどのコイはユーラシア大陸原産のれっきとした外来種(琵琶湖にのみ在来のコイが残存)。自然環境にはどのような影響を及ぼすのか。

「まずは他の在来種の捕食が考えられます。コイは非常に大食漢で、貝や虫、水草など何でも食べる。また、水底に沈んでいる生き物を食べるので、池だと泥を巻き上げて水を濁らせます。水が濁ると太陽光が届かず水草が育たなくなり、より水質が悪化する原因となります」

 特定外来生物の持ち込みは法律で禁止されており、従わなければ罰則も設けられている。それ以外の侵略的な外来生物も法律上「規制、防除その他の必要な措置を講ずる」という記載はあるものの、罰則等は設けられておらず、法的な規制は難しいのが現状だ。

「放流というのは、実は正しく行うのはすごく難しいものなんです。生き物によって生息環境が決まっていて、川であれば流れの速さ、水温、水草の有無など、条件が合わなければ放流しても結局定着できずに死んでしまう。また、近年は同じ種類の魚であっても川ごとに遺伝子が異なることが分かってきた。安易に放流することは、その川固有の遺伝子を壊すことにもつながり問題となっています」

 善意からの行動が裏目に出てしまった今回のケース。個人やボランティア単位で環境保全に取り組むためにはどんな注意が必要なのか。

「自然を大切にしよう、川をかつてのきれいな姿に戻そうという試み自体はすばらしいこと。ただ、せっかくやるのならその善意が無駄にならないよう、正しい知識を持ってやることが大事です。ぜひ、大学の研究者、科学的知見を持ったNPOや水族館などといった専門家を頼ってほしい。あとは、本を読んだり、テレビ番組を見ていただくだけでも学びになります。また、報道する側の姿勢も重要です。稚魚の放流をただいいことのように報じるのではなく、科学的な知見から報じることで、誤った知識が広げないことが大切だと思います」

 環境保護のためには、気持ちだけでなく正しい知識も大切なようだ。

3/15(火) 20:10配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/2afdc6bd98819897a02802da776e8cf1cf5ebe84
https://i.imgur.com/E6Rp7to.jpg


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Source: 理系にゅーす