日本は、おととしの本庶佑さんの医学・生理学賞に続き、去年は吉野彰さんが化学賞を受賞し、3年連続で日本人の受賞となるのか、あすからのノーベル賞の発表が注目されています。
しかし、受賞者が相次ぐ一方で、科学技術立国を支えると言われる日本の大学院の博士課程の学生の数は、修士課程から進学する学生が減り続け、文部科学省によりますと、ピーク時の平成15年度のおよそ1万2千人から、昨年度はほぼ半分の5963人まで減りました。
また、人口100万人当たりの博士号取得者の数も、欧米が増加傾向にあるのに対し、日本は2008年度の131人から減少し、2017年度には119人と、アメリカ、ドイツ、韓国の半分以下の水準にまで落ち込んでいます。
これについて、ノーベル化学賞を受賞した、大手化学メーカー旭化成の吉野彰さんは、博士号を取得しても将来のキャリアが不透明なままというのが重要な課題だと指摘しています。
吉野さんは、欧米諸国などでは博士号を取得すると企業などでの就職が優位になる側面があるのに、日本では処遇がほぼ変わらないと指摘します。
そのうえで「企業は博士という学位を考慮し、それなりの待遇や給与で優遇することなどが必要ではないか。産業界が博士課程を出た人をどう処遇するかが、これからの問題だ」と訴えます。
また大学の環境についても、若手が長期的に研究に打ち込めるようになっていないと指摘します。
吉野さんがノーベル賞を受賞したリチウムイオン電池の研究を始めたのは吉野さんが33歳の時で、腰を据えて1つの研究を続けられたからこそ、30年後に世界で評価される結果が出せたといいます。
吉野さんは「大学の研究は、真理の探究、あるいは研究者自身の好奇心に基づきひたすら追い求めるもので、1つのミッションとして絶対必要だと思います。そういった意味で、博士課程を経た人が10年間程度は安心して研究できる環境は、日本にとって非常に重要だ」と指摘しています。
■米ノートルダム大学 坂上准教授「日本で博士号 メリット無い」
博士号を取得した日本の研究者の中には、その能力が日本では生かせないと、海外の研究機関などに出て行く人も少なくありません。
現在、アメリカのノートルダム大学の航空宇宙機械工学科で研究や授業を行う坂上博隆准教授は、アメリカのパデュー大学で博士号を取得しましたが、日本で就職しようとすると、年齢で給料が決まり、博士号を取る過程で得た能力が考慮されなかったといいます。
そして、「アメリカで博士号を取った場合、生涯年収が変わる。一方、私の航空宇宙分野に関して言うと、日本では博士号を取得して就職したところで給料は大きく変わらず、メリットが無い」と話していました。
また、アメリカでは理系の博士課程の学生に大学から給料が支払われる仕組みがあるとしたうえで、「日本のように3年間も余計に苦学生をする環境に、修士課程の学生は魅力を感じないのでないか」と指摘しました。
坂上さんは「このまま博士課程への進学者が減ると、研究の土壌が枯れてしまうのではないかと懸念している。待遇を改善するなどして、研究に取り組みたい若い学生が博士課程に進みやすい環境を整えることが必要だ」と訴えています。
■理系博士や修士の学生就職支援サービス
以下ソース先で
2020年10月4日 19時56分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201004/k10012648001000.html?utm_int=all_side_ranking-social_002
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201004/K10012648001_2010041929_2010041942_01_03.jpg
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Source: 理系にゅーす