フランスのソルボンヌ大学とイタリアの国際理論物理学センターに所属する研究者らが発表した論文
「Water is a superacid at extreme thermodynamic conditions」は、極度な高温高圧下において
水が「超酸」(超強酸)と呼ばれる非常に強力な酸に変化することを実証した研究報告である。
超酸は硫酸よりも強い酸性を持つ。
コンピュータシミュレーションによれば、この極度な条件下で超酸性の水はメタンなどの炭化水素分子と反応して段階的に変化し、
最終的にはダイヤモンド状構造に変えることができるという。
この変化は3000K(約2727℃)の温度と、22~69GPa(1GPa=1×10^9Pa)という強烈な圧力の下で発生する。
このような極端な条件は、例えば海王星や天王星などの氷惑星の内部で見られるものに近いと考えられている。
研究チームは密度汎関数理論と分子動力学シミュレーションを組み合わせた手法を使用してこの発見を行った。
さらに、シミュレーション結果に基づいて機械学習モデルを訓練し、より効率的な計算を実現している。
超酸環境下だと最初にメタンがプロトン化されてCH5+となり、続いて水素分子を放出して高反応性のCH3+を形成する。
これが周囲の分子と反応してエタン、プロパン、ブタンといった長鎖炭化水素、最終的にはナノダイヤモンド構造を形成する。
この現象のメカニズムについて、研究チームは圧力増加によってメタン分子の形がゆがみ、双極子モーメント(電気的な偏り)が生じることを突き止めた。
これによってメタンが塩基として働きやすくなり、プロトンを受け取りやすくなるのである。
この発見は天王星や海王星などの氷惑星の内部で観測される「ダイヤモンドの雨」現象の形成メカニズムを説明できる可能性がある。
Source and Image Credits: Thevenet, Thomas, et al. “Water is a superacid at extreme thermodynamic conditions.” arXiv preprint arXiv:2503.10849(2025)
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Source: 理系にゅーす