化石は2014年、米国アラバマ州にある化石サイトで見つかった。ここでは翼竜が恐竜や古代のワニ、大型魚の餌食となった証拠がいくつも見つかっている。今回の発見もそのひとつだ。翼竜は骨と皮しかないと想像している人も多いだろうが、実際は違う。この研究結果は、学術誌「PALAIOS」の9月号に発表された。
「実際の翼竜は骨格にしっかり肉が付いていました」と、翼竜に詳しい南カリフォルニア大学のマイケル・ハビブ氏は述べる。「映画やアート作品でよく描かれているような、痩せこけた動物ではありません。特に、飛ぶための筋肉は最高のごちそうだったと思います」。なお、ハビブ氏は今回の研究には関与していない。
アラバマ州で発掘されたのはプテラノドンの翼の骨で、翼開長が4.5メートルほどあったことを示唆している。しかし、体重は25〜40キロ程度と推測され、スクアリコラックスや大きな硬骨魚にとっては格好の獲物だったはずだ。スクアリコラックスはすでに絶滅したサメで、体長が4.5メートル前後に達する個体もいた。
論文によれば、プテラノドンの骨に残されたかみ痕は、2種類の魚、スクアリコラックスとサウロドンの歯並びと見事に一致しているという。サウロドンはオニカマスのような魚で、体長約1.2〜1.8メートルだ。
「珍しい化石です。2種類の動物によるかみ痕が残されています」と、米ニュージャージー州トレントンにある州立博物館の古生物学者で、今回の研究を率いたダナ・エーレット氏は述べている。
「この発見にとても興奮しています。食べられた痕のある翼竜の骨は貴重です」とハビブ氏も評価する。
■サメだらけの海
アラバマ大学の博物館で化石の石灰を落としていたとき、エーレット氏の共同研究者で大学院生のT・リン・ハレル氏は最初、誤って表面を傷つけてしまったのではないかと思った。だがすぐに、平行に刻まれた溝は、捕食者の餌食になった証拠であることに気がついた。
「彼は私に怒られると思っていました」とエーレット氏は振り返る。「でも、化石を整形しているうちに、4本(の溝)が平行にになっていることに彼は気づいて、食べられた痕だとわかったのです」
エーレット氏とハレル氏はさらに調査を進めるため、博物館に所蔵されている肉食魚の顎の化石をかき集め、プテラノドンの骨に付いたかみ痕と比較した。そして、くっきり刻まれた4本の溝とのこぎりで引っかいたような浅い傷が、サウロドンとスクアリコラックスの歯並びとほぼ一致することに気づいた。
エーレット氏によれば、アラバマ州で発掘された白亜紀後期のウミガメや恐竜の化石に、サメにかじられたと思われる「捕食の痕」がよく残されているという。当時、アラバマ州の一部は温暖な浅瀬で、北米大陸を東西に分断する巨大な内海である西部内陸海路の入り口となっていた。
化石を見る限り、この豊かな海ではサメが繁栄していたようだ。「私は世界中で化石を集めていますが、サメの歯がこれほど多い場所は知りません」とエーレット氏は話す。「さまざまなサメがこの海域に生息していたようです」
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引用元: ・【古生物】恐竜時代のサメ、空飛ぶ翼竜を食べていた 化石に歯の痕くっきり、もろい骨をもつ翼竜では異例、8300万年前[10/06]
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Source: 理系にゅーす