ニュースで取り上げられたのは、文部科学省が全国の公立小中高校を対象として毎年末に行う英語教育実施状況調査だ。国が求める英語力の水準に達している生徒の割合などを調べ、都道府県や政令市ごとの結果を公表している。
国が求める水準とは、中学卒業段階で語学力の国際指標「CEFR」のA1レベル相当(英検なら3級)以上、高校卒業段階でA2レベル相当(英検なら準2級)以上。23年に閣議決定された教育振興基本計画は、27年度までに生徒の60%がこの水準に達することを目標としている。
5月に公表された23年度の結果によると、高3の全国平均は50・6%で、最も高いのは富山県(61・4%)。最も低い宮城県は39・6%で、全国唯一の30%台だった。中3の全国平均は50・0%。最も高いのはさいたま市(88・4%)で、福井県(83・8%)が続く。最も低いのは佐賀県(30・1%)だ。
なぜ宮城の高3の英語力は全国最低なのか。その背景を探ろうと大手予備校に取材を申し込むと、「率直に言ってコメントは難しい」との返事がきた。理由は調査の方法が「具体的な指標に基づいていないため」という。どういうことか。
実はこの状況調査には、英検などの英語資格やスコアを取得している生徒の割合だけでなく、資格がなくても「国が求める水準以上の英語力があると思われる」と教員がみなした生徒の割合も含む。
例えば、A2レベル相当以上の資格を取得している高3の割合は、宮城県(23・1%)と秋田県(22・4%)でほぼ同じ。だが「思われる」生徒の割合は宮城県(16・5%)と秋田県(30・4%)で倍近い差がある。その結果、宮城県は全国で唯一の30%台なのに対して、秋田県は52・8%となり全国平均を上回る。
2019年3月まで21年間、埼玉県内の公立中学校で英語の教員を務めた埼玉大の奥住桂准教授(英語教育学)は「教員だった当時から、あいまいで当てにならない調査だと思っていた」と話す。その理由を問うと、学校や自治体によって生徒の英語力の判断方法がバラバラな実態を明かしてくれた。【小川祐希】
毎日新聞 2024/7/22 16:30(最終更新 7/22 17:17)
https://mainichi.jp/articles/20240722/k00/00m/040/186000c
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Source: 理系にゅーす