https://www.fnn.jp/articles/-/464760
 「発達障害グレーゾーン」の人たち…「発達障害」と診断される人の、数倍は存在すると推測されている。 
 しかも、その症状は必ずしも軽いわけではない。 
 「発達障害」と確定診断されるかどうかの、まさにボーダーラインなのだ。 
 ◆「グレーゾーン」であっても…症状が軽いわけではない 
 「発達障害」という言葉は、広く知られるようになった。 
 その結果、自分も当てはまるのではないかと感じて、多くの人が医療機関を訪れるケースが非常に増えている 
 その中に「発達障害グレーゾーン」と呼ばれる人々が少なからず存在する。 
 「発達障害」の診断基準をいくつか満たしているものの、全て満たしているわけではないため、「発達障害」の確定診断が受けられない。 
 しかし、「グレーゾーン」の人は、「発達障害」と診断された人の何倍もいると見ている専門家もいる。 
 注意しなければならないのは、医師から「発達障害グレーゾーン」と言われた場合、「障害ではないので安心だ」とは、ならないケースが多いことだ。 
 「グレーゾーン」の人は、「発達障害」と診断されている人より、症状が必ずしも軽いわけではない。 
 症状が軽いから「グレーゾーン」なのではなく、複数ある診断基準のすべては満たさなかったということ。 
 国際的に利用される診断基準を1つでも満たさなければ、確定診断は下りずに「グレーゾーン」となる可能性が高い。 
 だから、発達障害の確定診断を受けた人と同等、もしくはそれ以上に特性が強く出る人もいる。 
 にもかかわらず、「発達障害」の診断がないため、治療もされず、健常者と対等に扱われる立場にも置かれやすい。 
 障害レベルの人に比べて「生きづらさ」が弱まるどころか、より深刻な困難を抱えることがあるのだ。 
 ◆職場で緊張続く…大人の「グレーゾーン」 
 「発達障害グレーゾーン」というのは、正式な病名ではなく、あくまで「発達障害の傾向はあるが、確定診断を下すことができない状態」のこと。 
 そのため、症状はかなり幅広いのが特徴だ。 
 「簡潔にまとめて」といった、漠然とした指示を理解できない。 
 他人と話す時に、細かいところまで質問を重ね続けてしまう。 
 「空気が読めない」、「共感するのが苦手」、「生きづらさ”を感じる」等々…。 
 大人の「発達障害グレーゾーン」の場合、受診する動機で多いのは「対人関係」だ。 
 発達障害の特性のひとつに、コミュニケーション障害があるが、「グレーゾーン」の人たちは、ある程度の対人関係は作っても、うまく続けることができない。孤立しがちになり、孤独感に苦しむ。 
 職場では、ある程度は社会適応しているが、うまくいかない場面・経験もあり、ミスや叱責を恐れて、緊張が続く。 
 このように、健常者と「発達障害」のはざまで、「グレーゾーン」特有の葛藤に苦しんでしまう。 
 ◆診療で保険は適用されるのか? 
 「発達障害グレーゾーン」は、「発達障害」同様の治療は出来るのだろうか。 
 結論から言うと、「発達障害グレーゾーン」の治療に、「発達障害」のような保険診療は適用されない。すべて自費診療になる。 
 発達障害かどうかを調べることは保険診療の範囲で可能だが、診断基準に満たない場合は、特性についてのアドバイスを受けて終了となるケースが多いだろう。 
 また、「発達障害」の確定診断を受けた人は、障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)が取得できるが、「グレーゾーン」の場合は、障害者手帳の交付はされない。 
 このように、「発達障害」の確定診断があれば保険診療や公的支援もあるが、「グレーゾーン」だと、その対象とならない。 
 そうしたことも、「発達障害グレーゾーン」の方の大きな悩みとなる。 
 ◆発症しやすい「二次障害」…放置すると重症化も 
 発達障害を持つ人は、その「生きづらさ」から、うつ病などの「二次障害」を発症することが少なくない。 
 そして、「二次障害」は、「グレーゾーン」の人にも現れやすい特徴があり、うつ病や双極性障害、不安障害など幅広い精神疾患が該当する。 
 こうした「二次障害」の症状が出ている場合、放っておくと重症化したり、入院治療が必要になるケースもある。 
 早期に治療を受けるためにも、「発達障害グレーゾーン」の場合は、「二次障害」の症状も含めて医師に相談することをおすすめする。 
(小林晶子 医学博士・神経内科専門医)
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Source: 理系にゅーす

