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1: 2025/04/28(月) 18:06:53.99
乗りものニュース
https://trafficnews.jp/post/542126

2025.04.28
大塚圭一郎(共同通信社経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員)

茨城県で中型バスとして国内初となる「レベル4」の自動運転の営業運行が実施されています。運転手不足の解決策になると期待されている技術ですが、乗車すると人の運転とは「明らかな違い」がありました。

運転手不足の“魔法のつえ”に

 みちのりホールディングス(HD)子会社の茨城交通が2025年2月から、茨城県日立市で中型バスとして国内初となる「レベル4」の営業運転を行っています。レベル4とは最上位のレベル5(完全自動運転のシステムが常に運転する)に次ぐ水準で、場所や天候、速度などの特定条件下で自動運転システムが全ての運転を手がけます。

 全国でバスの運転手不足が深刻化している中で、自動運転が広がれば“魔法の杖”になると期待感が高まっています。筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)は自動運転技術の実情と課題を探ろうと現地へ向かったところ、「理想」と「現実」には依然として隔たりが大きいことを思い知りました。

 茨城交通はバス高速輸送システム(BRT)の「ひたちBRT」にある6.1kmの専用道で自動運転を実施しています。この区間では運転席に乗務員がいるものの、基本的にシステム任せ。一方、専用道以外の区間では乗務員がハンドルを握ります。

 その専用道はJR常磐線の常陸多賀駅に近い河原子を起点に、常磐線のひと駅南の大甕(おおみか)を経由し、日立市立南部図書館まで続いています。専用道が敷かれているのは、業績不振が響いて2005年に廃止された私鉄、日立電鉄の線路跡地です。

 赤字鉄道の跡地を引き継いで2013年3月に開業した「ひたちBRT」ですが、みちのりHDの松本 順会長は「ひたちBRTはちゃんと利益が出ています。鉄道とバスとではかかるコストが全然違います」と強調しました。

 他のクルマや歩行者らが通らない専用道ならば安全性を確保しやすいため、運転手が乗り込むもののシステムが自動で制御する「レベル2」の実証実験を2018年度に開始。その後、高度なレーザーセンサー技術「ライダー」やカメラを備えたバスを導入して「レベル4」の実証実験に乗り出し、24年11月26日、国土交通省関東運輸局から営業運転の認可を受けました。

「人を恐れるような運転」

 自動運転バスは平日限定で1日4往復し、日中時間帯に限られます。いすゞ自動車の中型バス「エルガミオ」を改造した自動運転バスの窓には、「座席定員制27名 立席でのご乗車はできません」と明記されていました。 

 みちのりHDの浅井康太グループマネージャーは「急停止した場合の利用者の転倒を避けるために現在は全員が着席した状態で走らせており、そのために混雑しない時間帯に走らせている」と理由を説明しました。

 最高速度は40km/hで、手動運転とほぼ変わりません。しかし、時刻表を見ると自動運転区間の所要時間は10分長く設定されています。

 運転席の後ろにあるモニター画面では、走行速度や、車体に取り付けたカメラなどが検知した人やクルマなどを表示しています。これらを確認しながら走り方を観察していると、人の運転と比べて時間を要する理由が見えてきました。

 車道と歩道との仕切りが縁石だけの区間では、歩行者が専用道に立ち入るリスクを想定し、車道の端から2m以内に人がいると減速します。また、11か所ある一般道との交差や、15か所ある横断歩道では「他のクルマや人を恐れるようにノロノロしたスピードで走る」(乗務員)という傾向が見られました。

 40km/h弱に設定している最高速度へ加速する際も、安全性を十分に確認している乗務員はアクセルをぐっと踏んでキビキビと走るのに対し、自動運転はまるで初心者のように自信なさげにソロソロと動いており、ネット用語でいう「ガクブル(ガクガクブルブル)」を思わせる様相でした。

 乗務員は「(自車の前方で)道沿いの歩道をジョギングしている人がいる場合、自動運転だと15km/h程度で後ろをノロノロとついて行くことがある」と教えてくれました。また、信号の停止線を検知しにくい交差点では「手動で停止線まで動かしている」と言います。

 こうした緩慢な走り方によって時間のロスに生じ、豊富な経験に裏打ちされた運転手のハンドルさばきと比べ、わずか6.1kmで10分もの時間差につながるのです。

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(略)

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Source: 理系にゅーす