マリファナは卵母細胞(女性の卵巣にある未受精卵)にダメージを与え、不妊、流産、そして胎児の遺伝子疾患を引き起こす可能性があると研究者らは懸念している。新たな研究で明らかになった。
9日にネイチャー・コミュニケーションズ誌に掲載された研究によると、マリファナに含まれる化学物質で多幸感や「ハイ」をもたらすテトラヒドロカンナビノール(THC)の濃度が高いと、卵子の成熟過程の変化や染色体異常の増加につながる可能性があるという。
米ポートランドにあるオレゴン健康科学大学医学部の産科・婦人科・泌尿器科准教授で産婦人科医のジェイミー・ロー博士は、電子メールで「この研究結果は憂慮すべきものであり、妊娠を計画するに当たって大麻を使用する際には慎重なアプローチをとることの重要性を浮き彫りにしている」と述べた。ロー博士はこの研究には関与していない。
妊娠中のマリファナ使用は増加している。 6月に実施された調査によると、米国の妊婦における過去1カ月間の大麻使用の自己申告は、2002年から20年にかけて3倍以上に跳ね上がった。多くの研究で、妊娠中のマリファナ使用と自閉症、胎児の発育不良、低出生体重児、危険な早産、さらには死亡との関連が指摘されている。
この新たな研究は、「重要な知識のギャップを埋めるための、刺激的で斬新なアプローチだ」と、マリファナと生殖能力を研究するロー氏は述べた。同氏によればマリファナが精子にどのような影響を与えるかは多くの研究で検討されてきたが、これまでマリファナがヒトの卵子と卵胞に与える影響を調べた研究はなかった。
卵胞とは、卵巣にある小さな液体で満たされた袋状のもので、中には未受精卵が1個入っている。女性の月経周期中、ホルモンの作用で一連のプロセスが開始され、卵母細胞は染色体を分離し、精子による受精に備える。
トロント大学で卵巣生物学のポスドク研究員としてこの研究を行った筆頭著者のシンティア・デュバル氏は、THC濃度の上昇がこのプロセスに影響を与えたようだと述べた。
しかし、この研究は関連性を示唆するに過ぎず、直接的な因果関係を示すことはできないと同氏は指摘する。同氏は現在、カナダ・トロントの不妊治療クリニックで応用研究を統括する。
一般の人々がこの論文を読んで不安になるのは望まないとしつつ、デュバル氏は研究で観察された変化が生殖にどう影響するか、あるいはそもそも影響があるのかどうかさえ、判断を下すにはさらなる研究が必要だとの見解を示した。
研究者らは、不妊治療を受けている患者の卵巣液サンプル1000件以上を分析。THC検査で陽性反応を示した62人の患者からなる小規模グループから採取した卵母細胞を、大麻の使用が検出されない対照群と比較した。
対照群と比較して、THCが検出可能なレベルの患者群は、卵母細胞成熟率の上昇と、適切な染色体数を持つ胚(はい)の数の減少との関連が認められた。
一見すると成熟率の高さは好ましいように思えるかもしれないが、成長が速すぎれば、卵母細胞が生殖の準備をする上で問題が生じる可能性があるとデュバル氏は述べている。
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マリファナでヒトの卵細胞に染色体異常起こる可能性 新研究で判明 – CNN.co.jp https://share.google/gamSiwP31FHuyT27U
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Source: 理系にゅーす