新型コロナウイルス感染症。一時に比べ、社会の関心は薄まったが、コロナのmRNAワクチンをめぐって、ワクチンの成分が接種していない人にもうつるという「シェディング」が起きるとの言説もSNSでは飛び交う。どう考えるべきなのか。
大阪大免疫学フロンティア研究センター招へい教授の宮坂昌之医師によると、「シェディング」という言葉は本来、感染した人の体内の細胞からウイルスが放出され、ほかの細胞に乗り移る(感染する)ことを指すという。
ワクチンを打った人から打っていない人にワクチンの成分が移ることを指しているわけではないが、昨秋以降、この文脈でSNSなどで使われている。
大きなきっかけは、「レプリコン(自己増幅型)」と呼ばれる国産のワクチンが発売されたことだった。接種した人の受診や入店などを断る動きが一部で出て、製造販売元のメーカー、厚生労働省、日本感染症学会などが「周囲の人に感染させるリスクはない」と否定した。
だが、その後も言説は出回り、この説を主張する国会議員もいるほか、7月の参院選でも「シェディング」への対策の必要性についてSNSで言及する候補者がいた。
ウイルス含まず 科学的根拠を欠く言説
ワクチンの成分が打っていない人にうつる現象は、ポリオなどに対する「生ワクチン」では起きることがあるとされる。生ワクチンは、ウイルスなどの病原体の毒性(病原性)を弱めたうえで、生きた状態で接種する。
幼い子どもを中心に下痢などを引き起こす「ロタウイルス」に対するワクチン、水ぼうそう(水痘)に対するワクチンなども、このタイプだ。
一方、mRNAワクチンにはウイルスは含まれていない。
「mRNAワクチンやレプリコンワクチンでは、感染能力のあるウイルス粒子や物質はつくられません。ましてや、接種者から『何か』が出て、ほかの人に悪い影響を及ぼすことはありません」
朝日新聞 2025年8月29日 6時00分
https://www.asahi.com/articles/AST8T13W8T8TUTFL01XM.html?iref=comtop_7_01
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Source: 理系にゅーす