「大谷選手は昨オフ、自分に合っている食材、合ってない食材がわかる血液検査を受けました」
と明かす小谷氏によると、
「その結果、卵が合ってないことが判明し、毎朝自ら料理して食べていたオムレツをやめたのだそうです」
フライパンで器用にひっくり返すなど腕前を上げていたのだとか。その“プレー”ぶりがお蔵入りになったのはちょっぴり残念だが、それはともかく、
「“グルテンも、基本的に今は摂っていないです”とのことでした」(同)
たんぱく質の一種であるグルテンを摂取しない、いわゆる“グルテンフリー食”とは、本来はグルテンに過剰に反応してしまうセリアック病患者向けの食事療法だった。だが欧米では今、有名テニス選手のノバク・ジョコビッチらアスリートから一般人まで健康法として普及しつつある。
エビデンスは…
管理栄養士で公認スポーツ栄養士の橋本玲子氏曰く、
「欧米のアスリートを対象にしたある研究では、41%のアスリートがグルテンフリーを実践し、うち81%が効果を感じていると回答しています」
こう聞くと、まるで“魔法の食事”ではないか。私も今すぐ始めよう――というのは早計なのでご用心。
「欧米は、小麦や大麦などグルテンを多く含む食材がエネルギー源、つまり主食です。一方、日本はグルテンを含まないコメが主食で、グルテンを含む食材は醤油など限られています」(同)
いわば、日本は元々“グルテンフリー”なのである。事実、欧米と比べセリアック病患者も少ない。しかも、
「グルテンフリーを極端に行うと、エネルギー不足に陥るだけでなく、ビタミンD、ビタミンB12、葉酸、鉄、亜鉛、マグネシウム、カルシウムの摂取量が不足するとの報告もある。ベジタリアンも同様ですが、食べ物を制限するということは、何らかの栄養素の不足に繋がります。とにかく減らせばいいというわけではないのです」(同)
過ぎたるは猶及ばざるが如し。話を大谷に戻そう。
小谷氏によると、大谷は試合前後に球団が用意したビュッフェ形式の食事を摂っているのだとか。また、比較的機会は少ないが、チームメイトと共にレストランでステーキを食べたりしているという。ならば、グルテンフリーも効果あり? と思ったら、残念ながら、
「グルテンフリーがアスリートのパフォーマンスに影響を及ぼす、というエビデンスはありません」(同)
8割のアスリートが効果を感じているというのも、
「グルテンうんぬんでなく、食事に自然と気を遣うようになるからでは」(同)
要するに、鰯の頭も信心から、ということか。
「週刊新潮」2021年5月6日・13日号 掲載
https://news.yahoo.co.jp/articles/79a97b35e41ee9e7f4997ba1aa3cc0e1aadb4c85
https://amd-pctr.c.yimg.jp/r/iwiz-amd/20210518-00731241-shincho-000-1-view.jpg
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Source: 理系にゅーす