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1: 2022/06/06(月) 13:49:28.12
大石航樹
公開日 2022/6/4(土)

参考文献
HOW DO YOU KNOW NOT TO LAUGH AT A FUNERAL? THIS REGION OF THE BRAIN IS KEY.
https://news.northeastern.edu/2022/05/20/funeral-laughter-brain-region/

元論文
Sinful pleasures and pious woes? Using fMRI to examine evaluative and hedonic emotion knowledge
https://academic.oup.com/scan/advance-article/doi/10.1093/scan/nsac024/6554395

皆さんは過去に、お葬式や人に怒られている最中など、笑ってはいけない場面で笑いがこみ上げてきた経験はないでしょうか?

お笑いのコントでよく見かけるシチュエーションですが、実際私たちは、その様な場合きちんと我慢します。

これはシリアスな場面で笑うのは社会的におかしいということを私たちが理解しており、「自分の感情について考え、判断を下す」能力を持っているためです。

米ノースイースタン大学(Northeastern University)は、この場にそぐわない不適切な態度を制御しているとみられる脳領域を特定したと発表しています。

では、その脳領域が損傷するとどうなるのでしょうか?

研究チームは、その唯一の症例かもしれないある人物の数奇な生涯に触れています。

研究の詳細は、2022年3月26日付で学術誌『Social Cognitive and Affective Neuroscience』に掲載されました。

鉄の棒が頭を貫通して性格が激変してしまった男性

1848年9月、アメリカの鉄道建築技術者の職長だったフィニアス・ゲージ(Phineas Gage、1823 – 1860)は、路盤を建設するための発破作業をしていました。

岩に深く穴を掘り、火薬・ヒューズ・砂を入れて、鉄の棒で突き固めるという作業です。

ところが、砂を入れてなかったためか、突き棒が岩にぶつかって火花を発し、火薬が爆発しました。

瞬間、長さ43インチ(約109センチ)の鉄の棒が、ゲージの左頬を貫通し、脳を通って頭蓋骨の上部から突き抜けていったのです。

ゲージの頭を突き抜けた鉄の棒は25メートルほど先まで飛んで落ちたといいます。

まさに大惨事。

ところが驚くべきことに、ゲージは数分もせぬ内に話し始め、ほとんど人の手も借りずに、自宅までの1.2キロを馬車に乗って帰っていったというのです。

その後、医師による処置を受けたゲージは、左目の視力を失ったものの、知力や認知機能、運動能力はそのまま維持しました。

ところが、家族や友人はゲージの大きな変化に気づきました。

彼の性格、とくに感情表現がガラリと変わってしまったというのです。

友人たちは「もはや以前のゲージではなかった」と話し、主治医は「悪態をつくことが多くなり、仲間に対する敬意もほとんどなくなった」と書き記しています。

結局、ゲージは現場監督の職を失い、事故から12年後の1860年、36歳の若さで亡くなっています。

なぜゲージは性格が変わってしまったか、その答えが今回の研究に隠されているかもしれません。
https://nazology.net/archives/109881

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前頭前野の損傷で「感情の判断」ができなくなる
https://nazology.net/archives/109881/2


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Source: 理系にゅーす