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1: 2020/08/28(金) 10:21:45.96

「トラクターに耕運機や田植え機といった農作業機を取り付けて公道を走るには、大型特殊免許が必要になったと言われて困っている」。岡山県内の農家からこんな戸惑いの声が本紙に届いた。これまで取り締まられることのなかった「農作業機付きでの走行」が、無免許運転として摘発の対象になったという。なぜ、このようにルールが変更されたのか。その背景や影響を取材した。

 トラクターの公道走行に関する新ルールについて、総社市でコメ農家を営む男性(78)が知ったのは昨年の末。JAから組合員への通達に「農作業機を装着したままの公道走行が可能になった」と記されていた。一方で、「農作業機の装着により大型特殊免許が必要」との文言も。

 「規制が緩和されるのか、強化されるのか、当初は理解に苦しんだ」と男性。免許を取得せねばとすぐに自動車教習所を探したが、どこも農家からの申し込みが殺到し、予約が取れなかったという。

 そもそも道路運送車両法は、農作業機を取り付けたトラクターの公道走行を安全上の理由から認めていなかった。農作業機は取り外して別の車で農地に運ぶ必要があったが、実際は装着したままの走行が少なからずあり、農林水産省の担当者も「(ルール違反を)黙認していた部分はある」と打ち明ける。

 国はこうした現状も踏まえつつ、農作業の効率化を進める規制緩和策として昨年4月、同法の保安基準を改め、方向指示器を見えやすい位置に付けることを条件に農作業機付きでの公道走行を認めた。

 ただ、農作業機を含めて車幅が1・7メートルを超す場合は道交法で大型特殊車両に分類され、運転に大型特殊免許が必要になった。耕運機や田植え機の多くは1・7メートルの幅に収まらないといい、結果として、これまで“黙認”されてきた公道走行は、規制緩和によってかえって厳しく規制されることになった。

 そんなルール変更から半年が経過した昨年10月、国は方向指示器の供給体制が整ったとして、JAと連携して新ルールの周知を始めた。県内の教習所に農家からの問い合わせが相次いだのもこの頃からという。

 倉敷自動車教習所(倉敷市中島)では同12月ごろから、普段は1カ月に多くて10人ほどだった受講者が40人前後に増えており、「1台しかない専用の教習車をフル回転させ、最近になってやっと入所待ちが解消できつつある」という。

 県運転免許センター(岡山市北区御津中山)も今年5月から、大型特殊免許の試験日を週2日から4日に増やして対応している。

 ただ、教習所での免許取得には10万円以上の受講料が必要。県運転免許センターでの試験によって取得を目指す場合も、手数料などで通常4050円かかり「1回で合格できないケースも一定数ある」と同センター。

 そうした負担を強いられることに対し、農家の間には不満もあるといい、総社市の男性も「ルール違反を黙認してきたツケを農家が支払わなければならないのか…」と憤る。

 農水省は「公道の安全を確保するためにも、これ以上は放置はできない」と理解を求めている。

2020年08月27日 05時00分
https://www.sanyonews.jp/sp/article/1045425

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Source: 理系にゅーす