https://news.yahoo.co.jp/articles/d41d64231de6bb238e40632596ba70d8e8a72f98
中途採用の現場で、学歴がどの程度参考にされているのか、あなたは気になるだろうか。この質問に対して、人によって答えは割れることが予想できる。その意見の違いは、本人が高学歴か、そうではないかによって生まれるのではなく、どのような価値基準で人物評価をしているか、それによって意見が割れるのではないだろうか。
たとえば、高学歴の象徴として東京大学の卒業生を思い浮かべた時、あなたは職場にいる同僚や部下、もしくは上司に対して、東大出身だから優秀であるという評価を下すだろうか。優秀な人物と出会った時、あとからあの人は東大出身らしいよと聞かされて、勉強で優秀だと仕事でも活躍するんだと納得する場合もあるのかもしれない。
一方、職場の同僚の出身大学など気にかけないという人も多いに違いない。実際、難関大学の出身者が仕事もできるとは限らない。そもそも大卒が、高卒や高専卒よりも仕事ができると思うことも、全くの偏見である。進学先の選択には成績の良さ以外にも、その時の家庭環境や本人の健康状態などが影響することも多く、難易度の高い大学に進学した学生は、裕福な家庭出身が多いという統計もある。
◆学生時代の専門性を会社はどの程度評価するのか
若いころから関心を持った機械工学を高専で早くから専門的に学んだ人、数字を扱うことが得意な自分の特徴を活かして商業高校で経理を専門的に勉強した人は、社会に出た時点で即戦力である可能性が高く、高校や高専で学んだ分野の仕事に就ける可能性も高い。
一方、大企業への「就社」を希望する傾向の強い日本の新卒学生の場合、大学で学習した専門分野を活かした「就職」を実現する学生は一部である。理系であっても、自分が研究室で学んだ専門教育とは無縁な就職先を選ぶ学生は少なからずいる。
欧米やアジアの大学生と比べて、日本の学生の大学院進学率が低いのは、専門教育を受けても、それが入社後に評価されないことが多いとの認識があるからではないだろうか。他に類を見ない新卒の就職に関する日本の慣行(4月に新入社員が一斉に入社するというような)を支えているのは、企業による学歴至上主義であるという意見もある。
大企業の多くは、結果的に有名大学出身学生の青田買いを繰り返し、大量採用をしている。ただそれは、学生時代の専門性を評価しているというよりは、「主体性を発揮して、良い学生時代を過ごしたか」「コミュニケーション能力が高いか」「自ら問題を解決できる論理的理解力があるか」など、人間性やバランス感覚、組織の中で働ける対人関係に優れた人物であるかを優先的に評価している。
社会人経験がほとんどない新卒の採用においては、地頭の良さと学歴との間に一定の相関関係があると考え、結果的に学歴を担保にした採用に落ち着いているのかもしれない。
◆社会に残る学歴差別は今後どうなるのか
そうはいうものの、学歴に対するコンプレックスを持つ人がいないわけではない。もっと勉強すればよかったという後悔は誰にでもある。本当は違う国立大学に行きたかった、MARCHではなく早慶に行きたかったというように、一見高学歴に見える人の間でも、学歴に満足しない人はいる。
特に、新卒の就職の際に学歴が足を引っ張って、人気の大企業には就職できなかったと考える人がいるかもしれない。有名大学出身者を取る傾向のある大企業への就職では、出身大学が不利に働いたケースはあるのだろう。しかし、それがその後の社会人生活でもずっと続くのかといえば、社会人として取り組んだ勉強次第では、常に昔の学歴が不利に働くというわけでもないのではないだろうか。
そうはいっても、日本はほかの国々と比べると、学歴差別が比較的多いのかもしれない。社会の同調圧力が強く、長時間労働の慣習が残り、昇給・昇進などの待遇も横並びで大差がない職場環境があるため、学歴で人より優越感を感じたり、逆に劣等感を持つ人が生まれやすい風土があるのかもしれない。
国籍や性別、年齢で採用差別をしてはいけないことは法律にも明記されているが、学歴で採用差別することに特に規定はない。企業の応募条件に、大卒以上であることと書かれているケースは多い。大学院卒でないと採用に至らない職種も、少なからずある。
では、社会に残る学歴差別は今後どうなるのだろうか。その際に、今後注目すべき二つのキーワードをここで紹介しておきたい。一つ目は「教育のグローバル化」、そしてもう一つは、「社会人の生涯学習」である。
(一部略)
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Source: 理系にゅーす