https://www.lmaga.jp/news/2022/08/499156/
SNSに投稿された創作漫画を読んでいると、「登場人物の関西弁は、大阪弁変換ツールを使用して翻訳しました」という注意書きをよく目にする。和英・英和翻訳なら分かるけど、大阪弁・・・?と調べてみると、『大阪弁変換辞書』というサイトがヒットした。
大阪弁ネイティブの筆者からするとあまりに未知数なサイトだな・・・ということで、「天神橋ホームページ制作所」として大阪市旭区を拠点に活動する浜秀彰さんにくわしく話を訊いてきた。
■ 漫画や小説で、大阪弁のキャラクターに使用する人が増加
──まず、「大阪弁変換辞書」を作ったのは何がきっかけで?
別サイト用に文章を大阪弁に変換する「大阪弁変換辞書」を作ったんですが、結局そのサイトは公開には至らずしばらく眠らせた状態でしたが、2015年に関西弁版『進撃の巨人』が話題となったのを見て、なにかの役に立つのではと思い公開しました。
創作を手掛ける方が、漫画や小説に大阪弁のキャラクターを登場させる際や、大阪弁でニュースを発信するサイトなどで使用されているようです。あとは良くない使い方ですが、匿名掲示板で口喧嘩をする際に利用している人もいるようで・・・(笑)。
──思いもよらない使い方ですね。でも文章を変換するのにわざわざ「大阪弁」を選んだのはなぜでしょう。何かこだわりがあるとか?
それが、僕自身は和歌山県出身で埼玉に住んでいた時期もあるので、純粋な大阪人ではないんですよね(笑)。わざわざ大阪弁辞書にしたのも、大阪愛が強いというわけじゃなく、昔からそういうソフトやツールがインターネットの世界にたくさんあったという背景があります。
既存ツールはジョークソフトの一環で精度の低いものがほとんどということもあり、そこまで気合を入れて作ったわけではありませんでした。でもこの辞書を使って小説や漫画などを作る人も増えてきて、僕が作ったツールのせいで変な会話になってしまうのも申し訳ないなと・・・。サイト作りの一環で生まれたツールが、こんな広がり方をするとは正直予想外でした。
──でも関西圏以外の方からすると便利なツールですよね。どういったシステムで大阪弁に変換しているんでしょうか?
このツールにはAIなどは搭載しておらず、事前に登録した単語を変換するというシンプルなシステムです。サイト公開時にまず500単語程度を登録し、現在では2499単語が登録されています。
2017年に『UDトーク』というトークアプリが大阪弁モードを導入する際にこのツールが使用されたのですが、その際に大幅なアップデートをしました。最初のうちは「さぶい(寒い)」「押しピン(画びょう)」などわかりやすい単語ばかりを登録していましたが、アップデートを経て動詞や細かい表現などにも対応するようになりました。
──まさかの地道な手作業だったんですね! なかなかハードな作業なのでは?
現在はサイトに設置している「大阪弁辞書登録申請」というフォームから指摘があった分を月ごとに修正・追加したり、自分で気になった単語をその都度登録するくらいなので、そこまで大変ではないんです。
もしAIや文章解析システムを導入していたら、前後の文章を含めて判断し学習するので精度もあがるんでしょうが、現状は僕がコツコツ入力している状態です。どうしても精度に限界があります。最近では穏やかですが、昔は「サイトをつぶせ!」など、批判的な声が寄せられたこともありました。
今時使わない? モータープールや天花粉
──そんな過激派な方もいるんですね・・・。ちなみに、フォームにはどういう指摘やリクエストが寄せられるんでしょうか。
関西出身の人ならわかると思いますが、日常生活でそんなコテコテの大阪弁は使わないですよね。例えば「『こんにちは』を変換できない」と指摘されたことがありますが、「こんにちは」は、大阪弁でも「こんにちは」です。
また、以前ネットスラングの「せやかて工藤」を標準語に変換してほしいとリクエストがあったんですが・・・。「せやかて」って、普通の大阪人は使いませんよね。でもリクエストはあるので、「だからって工藤(こてこてのみ)」で変換はできるものの注釈をつけた状態になっています。
それと関西弁の言葉遊びで有名な「チャウチャウちゃうんちゃうん」。これは登録を希望する方が多く「こういう意味で合っているのかな」と迷いつつ登録した覚えがあります(あれ、チャウチャウじゃない?/チャウチャウじゃないんじゃねぇ?/え~、チャウチャウ違う?/違う違う、チャウチャウ違う/など)。
※以下リンク先で
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Source: 理系にゅーす