直通先は都営地下鉄新宿線。新宿三丁目や九段下、神保町などを通るあの路線だ。京王線に乗る機会が少ない人でも、都営新宿線には何度か乗ったことがあるのではないかと思う。
その都営新宿線で見かける行き先が「橋本」だ。一人涙を浮かべて九段下の駅から乗った電車ももしかしたら橋本行きだったかもしれない。
最初から説明してしまうと、京王線に直通したその先の終点なのだが、京王線といったら京王八王子や高尾山口がおなじみの終点である。いったい、橋本駅とはどこにあるのか。そしてどんなところなのか。いかにも地名っぽい駅名だったらなんとなくイメージもできるが、地名というよりは人名だ。橋本といったら環奈か真也と相場が決まっている。だから橋本駅と言われたってそれだけではどんなところなのか見当もつかない。まさしく、ナゾの終着駅である。
「橋本」には何がある?
というわけで、新宿駅から京王線の準特急に乗り込んで橋本駅に向かった。
橋本駅は、京王線は京王線でも味の素スタジアムの飛田給駅がある京王線ではなく、調布駅で京王線と分かれる京王相模原線の終点だ。相模原線は京王多摩川駅と京王稲田堤駅の間で多摩川を渡り、某紳士球団の練習場のあるよみうりランド、サンリオピューロランドでおなじみ多摩センター、東京都立大学改め首都大学東京改め東京都立大学最寄り駅の南大沢などを通ってゆく。起伏に富んだ多摩丘陵を切り開いて造成された多摩ニュータウンのための通勤路線だ。
新宿駅からは約40分、調布駅からだと約20分くらい電車に乗っていると車窓が開け、遠くに丹沢山地の山並みが見えてくると終点の橋本駅だ。高架島式1面2線、なんとなく見晴らしのいいホームから階段を降りてコンコースへ。改札口を抜け、外に出ようと思ったらどうやら高架下は商業施設になっているようだ。京王線のあちこちの駅にある啓文堂書店やドトールコーヒーなどを横目に通路を歩くと、「JR線乗り換え」の案内が目についた。
そう、橋本駅は京王線(と都営新宿線)の終着駅であると同時に、JR横浜線・相模線の駅でもある。横浜線は東神奈川~八王子間を結ぶ路線で、新幹線と横浜アリーナの新横浜駅、日産スタジアムの小机駅などがあることでも有名だ。相模線は茅ヶ崎駅を起点に相模川沿いを北上してここ橋本駅を終点とする路線。つまり橋本駅は相模線の終着駅でもあるのだが、一部の列車は横浜線に直通して八王子まで走っているし、やはりここでは「京王線の終着駅」ということにさせていただこう。
駅前一等地にある巨大な空き地の正体は…
さて、そんな橋本駅の外に出てみよう。
まずは京王線の改札口に近い南口。高架ホームが3階部分で、コンコースや改札口は地上2階。その2階から駅前の通りを渡る歩道橋に直接つながっているようだ。そこからあたりの様子を見てみると……。
まあ、ご想像のとおり、ナゾの終着駅は正体を見てみるとたいしてナゾでもなんでもないもので、取り立てて特徴があるような駅前でもなかった。路線バスの乗り場があって、いくつかチェーン店が入っているような雑居ビルが通り沿いに建ち並んでいる、そんなどこの駅にもあるような駅前だ。
ただ、大きく違うのは、駅前の通りを挟んだ向こう側に巨大な空き地が広がっていること。その空き地では、何やら大規模な工事をしているようだ。
この橋本駅前の工事現場、あの天下のリニア中央新幹線の「橋本駅(神奈川県駅)」の建設現場だという。駅前を歩いていてもおおっぴらにはアピールされていないようだが、すでにJR東海は橋本にリニアの駅を設けることを発表済み。いくら首都圏の外れの橋本とはいえ(ゴメンナサイ)、駅前の一等地によくこれだけの空き地があったものだ……。
かつてそこにあった伝統校
この空き地のナゾ、少し前の地図を見ればすぐに答えがわかる。もともと橋本駅のすぐ南側には神奈川県立相原高等学校があった。1923年に神奈川県立農蚕学校として開校した伝統校だ。
1/18(月) 6:12
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文春オンライン
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Source: 理系にゅーす