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1: 2024/09/17(火) 12:58:32.79
新型コロナウイルス禍において、これほど理不尽な扱いを受けたものはない。トイレに設置されているハンドドライヤーだ。

ぬれた手に風を送って乾かす仕組みだが、手についた菌を拡散させ、感染を広げる恐れがあるとして2020年5月に使用禁止となった。

だが、実はこうした対応が取られたのは日本だけだった。

「なぜこんなことになったのか。今も分かりません」

ハンドドライヤーの中小メーカー、東京エレクトロン(神奈川県)の井上聖一社長(74)は言う。

使用禁止によって会社の売り上げは10分の1にまで急減し、社員は半減して5人になった。

井上社長は危機感を覚え、ハンドドライヤーが感染を拡大させるのか自ら実験し、その安全性を証明した。「科学的に安全と判明しています」。そう言って取引先を回ったが、相手にされなかった。

「大手メーカーと異なり、うちはハンドドライヤーだけの会社。致命的でした」。本社を移転し、経費削減を進めたが、今も売り上げはコロナ前の4割ほどで、回復の道は見えない――。

コロナ禍ではマスク着用などさまざまな感染対策が講じられた。

不合理とも言える対策はいくつかあったが、ハンドドライヤーはその象徴だった。

感染拡大につながらないことが科学的に「確認」された後も、大半のトイレで使用禁止が続いたのはなぜか。その理由を探ると、科学に基づいて安全性を判断する難しさと、誰もリスクを取ろうとしない日本の「無責任体制」が見えてくる。
参考例のはずが……

使用禁止のきっかけは20年5月4日に開かれた専門家会議だ。

専門家会議はこの日、スーパーやレストラン、旅館といった各業界団体に対し、それぞれ独自に感染防止ガイドラインを作成するよう要請した。

オフィスビルや病院、工場など職場ごとに感染対策の内容が異なり、きめ細かな対応が求められることが背景にあった。

要請の際、専門家会議はガイドラインを作るうえでの「基本的な考え方や留意点の例」を列挙した。

そこに「手洗いや手指消毒の徹底を図る」という文言などとともに「ハンドドライヤーは止め、共通のタオルは禁止する」という項目が入っていた。

専門家の一部には、感染リスクがあるとしてハンドドライヤーをやめるべきだとの声があったためだ。

専門家会議に携わった医療関係者は振り返る。

「ガイドラインの設置主体は、あくまでも業界団体。私たちは、その参考例を羅列した。例えば病院と図書館のトイレでは感染対策も違う。それぞれの業界団体が、参考例を取捨選択してくれるものだと考えていた」

しかし、実態はそれとは異なる形で動き出した。
軒並み「使用禁止…

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最終更新 9/17 11:59 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20240913/k00/00m/040/285000c


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Source: 理系にゅーす