高校生の息子を通して、その同級生や同世代に取材し、SNS上で展開される 
 いじめや危険な誘惑などの現状についてたびたび寄稿しているライターの太田奈緒子さん。 
 ネットでの問題を仕事仲間と話していると、「今のネット上のコメントは昔の2ちゃんねるよりひどい。 
 2ちゃんにはそれなりの流儀があった」という意見を何度か聞いたという。 
 太田さん自身も実は当時、2ちゃんねるに入り浸っていた「隠れねらー」。 
 「2ちゃんには流儀があった」には共感する点も多いそう。今振り返る2ちゃんねるとは?  
 そして、今のSNSコミュニケーションと違う点は一体何なのかを寄稿してもらった。 
 前編では、「2ちゃんねるを懐かしがる理由」についてお伝えする。 
かつての「2ちゃんねる」を懐かしがる現象
 「友人・知人の投稿に、いちいち“いいね”をつけるのがめんどくさい」 
 「たくさんのささくれたコメントが目に飛び込んできて、気が滅入る」 
 「身内で雑談しているだけなのに、突然、知らないアカウントから攻撃的なコメントを書き連ねられた」 
 最近、こういった「SNS疲れ」の声をよく聞く。 
 そんな中、懐かしがる声が上がっているのが、かつての「2ちゃんねる」だ。 
 ここでいう「2ちゃんねる」と呼ばれていた掲示板は、現在「5ちゃんねる」と名称を変更している。 
 元祖「2ちゃんねる」の管理人だったひろゆき氏(本名:西村博之。 
 実業家、著作家、影響力のあるコメンテーター)は、現「5ちゃんねる」管理者との掲示板管理紛争を経て、 
 新たに「2ちゃんねる(2ch.sc)」という掲示板を運営している。 
 元祖「2ちゃんねる」は1999年に登場し、その後10年ほど全盛を誇った伝説の巨大匿名掲示板だ。 
 バスジャック事件犯人の投稿などが大きく報道されたことで、当時テレビなどでは「便所の落書き」 
 「悪名高き匿名掲示板」と呼ばれ、「まっとうな人が見るサイトではない」などと酷評された。 
 実際に殺人予告や個人情報晒しなど問題のある書き込みもあり、裏の側面も持っていた。 
 そんなこともあり大っぴらに「ねらー(2ちゃんねるユーザー)」を自称するのは憚られたものの、 
 「ハッキングから今晩のおかずまで」の売り文句通り、多種多様なジャンルの話題を網羅した2ちゃんねるは、 
 密かに自分なりの“お気に入りの板(掲示板)”を持っていた人も多かった。 
 何を隠そう、私自身も2ちゃんねるにハマっていた時期がある。仕事や育児のかたわら、 
 PCに2ちゃんねるを立ち上げっぱなしにして、興味のある祭り(特定のスレッドが盛り上がり、 
 書き込みのスピードが異常に速く、お祭り騒ぎになっているスレッドを指す)があればワクワクしながら見物した。 
 お気に入りの板(手芸や生活板など)は毎日欠かさず見てちょろちょろと書き込みもしたし、 
 マスコミ系の知人たち同様、ニュース板(ニュース速報+、芸スポ速報+板など)を今のTwitterのトレンド欄のような感覚で 
 チェックしていて、2ちゃんねるは「ネットルーティンの一部」になっていた。 
 ネットで必要な知恵は「2ちゃんねる」で学んだ!? 
   
 「2ちゃんねる」と聞くと「犯罪予告が行われるような危険な場所」「ひきこもりのオタクが口汚く喧嘩したり、 
 ふざけた騒動を巻き起こす場所」などと、よくないイメージを持っていて嫌悪する人は少なくない。 
 実際、過去には他のサイトを荒らしたり、話題になった人物の個人情報を詳細に晒し上げるなど、数々の悪行もあり、 
 こうした行為は決して正当化できるものではない。しかし昔、利用していた人たちの多くは 
 「ちょうどインターネット黎明期に現れたこともあり、ネットコミュニケーションの基本を叩き込まれた場所だった」と懐かしげに語る。 
 「細分化された掲示板・スレッドごとに独特なローカルルールがあるから、最初は勝手がわからなくて書き込みするには慣れと勇気が必要(笑)。 
 ルールを破ると『半年ロムれ(「半年は読むだけにしてルールを学び、書き込みするな」の意味)! 』と叱られたなあ」(Aさん・50歳) 
 「技術系の板(掲示板のこと)の住人だったけど、まとまりのない文章を書くと『3行で(「長い」の意味)』って言われるし、 
 噂話だったりピント外れ、知識不足のくせにわかった風なレスは『にわか乙(「知ったかぶりすんなよ」の意味)』とか 
 『ソース(データや情報源)は? 』ってすかさず突っ込まれる。内容はものすごく専門的で、どう見ても本職の人たちが書き込んでいるんだけど、 
 馴れ合い・忖度一切なし、殺伐とした独特な雰囲気は、意外に居心地がよかった」(Bさん・43歳) 
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Source: 理系にゅーす

