新型コロナウイルスの影響で大幅な観光客減に見舞われ、「鹿せんべいをもらえないシカが飢えている」との誤った情報が
インターネットで広がったためとみられる。シカの健康被害も懸念され、奈良県などは対策に乗り出した。
「奈良のシカ」は奈良公園(奈良市)とその周辺に約1300頭いる野生のシカで、国の天然記念物。
春日大社の創建神話に由来を持つとされ、人懐こいしぐさが観光客を和ませている。
県によると、昨年9月下旬に「観光客減でシカが餌をもらえず飢えている」という情報が、やせ細ったシカの写真と共にネット上で拡散。
それ以降、スナック菓子やパンなどを与える人が増えた。県には「餌を買って与えて」「シカがかわいそう」との電話も相次いだ。
ただ、シカの主食は草や枯れ葉などで、本来餌は与えない。
米ぬかと小麦粉が原料の鹿せんべいはおやつにすぎず、飢餓状態は生じていない。
シカが周辺の畑や店先の食べ物を荒らす被害はコロナ禍以前からあり、飢えのためではないという。
鹿せんべい以外の物を与えることは公園のルールで禁止されており、
県と「奈良の鹿愛護会」(同市)の職員が、餌やり行為を注意しているが、「何が悪いのか」と開き直られるケースもある。
一方、餌やりとの関連は不明だが、シカの口腔(こうこう)内の異常が報告されたり、死んだシカの体内からビニール包装が見つかったりしている。
県と愛護会は、2月末まで「えさやり禁止キャンペーン」を実施し、公園内と周辺計16カ所に看板を設置するほか、
観光客らにチラシを配布。夜間パトロールも行った。
県奈良公園室の担当者は「シカに愛情があるなら、不適切な餌やり行為はやめてほしい」と訴えている。
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Source: 理系にゅーす